「クレイジーズ 42日後」　★★★～ゾンビ＋ラブストーリー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

ゾンビ＋ラブストーリー★★★

（2020年／アメリカ／92分／Alone） 【　製作・監督　】ジョニー・マーティン【　出演　】

タイラー・ポージー

サマー・スピロ

ドナルド・サザーランド

【あらすじ】

　アメリカ・ロサンゼルス。

　ある朝、アパートで目を覚ましたエイデンは、テレビで緊急放送が流れ、外では人々が逃げ惑いヘリが墜落するのを目撃する。未知のウイルスの発生により、ウイルス感染者は人々を襲い、襲われた人間も感染者となり、街はパニック状態に。

　ウイルス発生から42日後。アパートに籠城していたエイデンは、意を決して外の世界へと踏み出す。そこには同じくアパートで籠城していた女性がおり、エイデンはなんとか彼女とコンタクトを取ろうとする―

【コメント】

　6月20日まで緊急事態宣言延長が決定、飲食店が引き続き時短営業の苦境の事態に。しかしながら、映画館についてはサイレントデモや多くの抗議ツイート（僕もツイートしてます）の甲斐もあって、時短ではありますがとりあえず営業ができるようになり、わざわざ隣県に足を運ばなくて済むな～と映画ファンとしては一安心です。

　6月からの劇場鑑賞を楽しみにしつつ、今週末も行きつけのTSUTAYAで新作を物色、手に取ったのが本作です。本作もまた「未体験ゾーンの映画たち2021」で公開された一本で、前々からちょっと気になっていた作品。でもタイトルがな～、『クレイジーズ』ってあれじゃん、ゾンビ映画の祖ジョージ・A・ロメロ御大の初期の名作じゃん、『42日後』ってあれじゃん、ダニー・ボイル御大の『28日後．．．』モジっただけじゃん。なんとも安っぽいタイトルだな～と感じつつも、予告編がなかなかよくできてそうだったので、ここはひとつ観てみるかと鑑賞してみた次第です。

　うむ、なるほど。まあぶっちゃけ、低予算丸わかりのB級ゾンビものであることは間違いないんですが、ゾンビ＋ラブストーリーという視点で、ゾンビとの攻防や追いかけっこというよりもドラマで見せる作品でしたね。まずまず楽しめました。“クレイジーズ”“42日後”なんてタイトル安直すぎるな～と改めて思います。

　そもそも原題は“Alone”（ひとりぼっち）。未知のウイルスで街が大パニックになっている中、独り身の人間がこの世界をどう生き延びるかというサバイバル的要素もありつつ、独り身でアパートに籠城している男女が出会い、互いに意識し合いながら助け合い、次第に惹かれ合っていくというもの。「俺たちは独りじゃない。助け合いながらこの世界を生き抜いていくんだ」というメッセージが込められているんだと感じます。

　とはいえ、ゾンビものならではの攻防戦や追いかけっこの展開も随所にあるので、定石の楽しさもあるし、何と言っても名優ドナルド・サザーランドが重厚な演技を見せてくれるのも見どころ。こんな低予算の作品によく出演OKしましたな御大。