「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。
これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

【あらすじ】
郊外の一軒家で暮らすクロエと母親のダイアン。クロエは、生まれつきの慢性の病気により、車椅子生活を余儀なくされていたが、地元の大学への進学を目指し自立しようとしていた。
ある日、クロエは自分が服用している薬に疑問を感じる。苦心惨憺して調査した結果、その薬は犬の筋弛緩薬であることが判明、母ダイアンに不信感を抱き始める。
クロエは家から決死の脱出を試みるが、次第にダインの本性が現れ始める―
【コメント】
映画館の再開により、観たい作品が追い付かない今日この頃。時間的にも金銭的にも作品の取捨選択を迫られている僕ですが、その中でもこれは面白そうだから観ておきたいぞと、前々から目を付けていたのが本作。
シンプルなタイトルに、引き込まれる予告編。しかも2018年に鑑賞した傑作スリラー『Search サーチ』の監督となれば期待は高まるばかり。運良く近所の映画館で公開されるので、さっそく「立川キノシネマ」に足を運んだ次第です。
(C)2020 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
よし!やっぱり面白かった!最近は佳作良作が立て続けで嬉しい限り。PCのアプリを巧みに使った『Search サーチ』を比較して、新鮮さはないものの不気味な雰囲気が全編に漂った、とても引き込まれる毒親系スリラーでしたね。いやぁ、僕の目に狂いはなかった。
山奥の一軒家で二人静かに暮らす母子2人。登場人物はほぼほぼこの2人だけ。生まれつき体が弱く車イスでの生活を余儀なくされているものの、大学進学を目指す前向きな娘と、懸命な介護をしながらそれを応援する母親という構造が、些細なきっかけから日常に疑惑を感じ始め、体を張った調査によって疑惑が真実へと変わり、母親の狂気が浮き彫りになっていく。この徐々に真相が判明していくサスペンスフルな展開が実に面白い。
もっとも、山奥暮らしで母親以外とのコミュニケーションがほとんどなく、インターネットも制限され、ほぼほぼ外部の情報が入ってこない環境下で、これほどスムーズに真相にたどり着けるのか、うまく行き過ぎてやしないかというご都合主義的な面もないわけではないし、設定的にも既視感が無いわけではない。でもやっぱり、この手のスリラーものは、真相にたどり着くまでのワクワク感は最高に面白い。本作は特にその演出が秀でていてグイグイ引き込まれていきます。
ラストシーンは好き嫌い分かれるところではありますが、僕的にはあれはあれである種のハッピーエンドじゃないかと思っています。自分をこんな体にした母親をじわじわと追い込んでいく積年の恨みが伝わって僕は好き。これで評価が上がったともいえますね。
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ちなみに、娘クロエ役のキーア・アレンは、実生活でも車イスのようです。しかしながら、役者や脚本家として様々な舞台に立っているようで、ハンディキャップをものともしない活躍ぶりのようです。それを考えると、劇中で見せた屋根を這いずるシーンはまさに命がけのように見えてきて、役者魂を感じさせますね。これからの活躍に大いに期待です。
【2021年度 Myランキング】(6/19時点)
本作は、本年度のベスト10中10位(暫定)にランクイン。
テレワーク最高!
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ファーザー ★★★★★
2位:すばらしき世界 ★★★★
6位:ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 ★★★★
7位:映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット ★★★★
8位:哀愁しんでれら ★★★☆
10位:RUN ラン ★★★☆
次点:騙し絵の牙 ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
2位:太陽は動かない ★★☆
3位:
<その他ランク外一覧>
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