「スプリー」　★★★～承認欲求を発展させた現代らしいスリラー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

承認欲求を発展させた現代らしいスリラー★★★

【あらすじ】

　ライドシェアアプリ“スプリー”のドライバー、カート・カンクルは、SNSのスターになることを夢見て活動するも、思うようにフォロワーが伸びない。

　カートはなんとかSNSをバズらせようと、ライドシェアの様子をライブストリーミングで配信することを思いつくが、徐々に内容は過激になっていき、ついには殺人に手を染めてしまう。

　そして、ついにはSNSのインフルエンサーまでも巻き込んだ事件に発展していく―

【コメント】

　9月に入り雨の日が続き、一気に秋の兆しが訪れている今日この頃。週末、いつもの行きつけのTSUTAYAで新作の段を物色していたところ、有無を言わさず手に取ったのが本作。

　劇場公開時、これは面白そうだと目を付けていたものの、都内の劇場館数が少なく、きしくも緊急事態宣言のあおりを喰らったため、やむなく劇場での鑑賞を断念した経緯があります。

　今般めでたくレンタル開始ということで、さっそく鑑賞してみた次第です。

　うむ、思ったとおり面白かったです。小粒のB級スリラーモノではあるものの、SNSでの“承認欲求”という現代の若者が持つ感情を発展させた、とても現代らしいスリラーだったと思います。緊急事態宣言のせいで本作が埋もれてしまうのはちょっともったいないですね。

　10年も前からSNSを使ってあの手この手で動画配信を続けるも、バズるどころか一向にアクセス数も伸びず、他人に迷惑をかけてでもバズらせようと内容も徐々に過激になっていき、ついには殺人まで発展していく。10年やっても面白い企画が思い浮かばないセンスのなさを棚に上げて、バズりまくるインフルエンサーたちを逆恨みする始末。承認欲求をこじらせるととんでもない方向に行ってしまうわけです。

　まあ、さすがにあそこまで行ってしまうとリアルなら誰ぞが通報して終わりなわけですが、現代の若者の生活にこれだけSNSが密着している、そしてそれぞれがこれだけ多くの人たちに認めてもらいたいという承認欲求が強いということなんですね。