「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
バトロワを 知らなかったとは 言わせねぇ
★★★
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2012年/アメリカ/143分/The Hunger Games)
【 監督 】
ゲイリー・ロス
【 原作 】
スーザン・コリンズ
『ハンガー・ゲーム(上)【文庫】Image may be NSFW.
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『ハンガー・ゲーム(下)【文庫】Image may be NSFW.
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【 出演 】
ジェニファー・ローレンス
ジョシュ・ハッチャーソン
リアム・ヘムズワース
レニー・クラヴィッツ
ウディ・ハレルソン
エリザベス・バンクス
スタンリー・トゥッチ
ドナルド・サザーランド
【あらすじ】
近未来の北米にある、先端都市キャピトルと、12の隷属地区で構成された独裁国家パネム。
パネムでは年に1度、国民の国家への服従を目的とした、12地区から選出された12~18歳の若者を、1人になるまで殺し合いをさせる“ハンガーゲーム”を開催していた。
第74回となる今回選出されてしまった第12地区のカットニスとピータは、理不尽な運命に身を投じることとなり、トレーニングを経て地獄の殺し合いの場へ投げ出される―
【コメント】
なんとアメリカで歴代5位の興行成績を打ち出した話題の本作。特にティーンエイジャーには大ウケらしく、本もバカ売れしているようで、原作者はさぞやホクホクしていることだろう。
さて、本土アメリカでも取り沙汰されているのが「これってJAPの『バトル・ロワイアル』のパクリじゃね!?」ってことで、なぜか向こうでは『バトル・ロワイアル』のDVDが売れまくっている様子。
『バトル・ロワイアル』(以下バトロワ)と言えば、十数年前に日本国内において“中学生同士がぶっ殺し合う”というセンセーショナルな設定が何かと物議を呼んだ小説および映画であるが、映画においては、巨匠・深作欣ニ監督によるスピーディなアクション展開と、藤原竜也や柴崎コウのようなフレッシュなキャスティングで大ヒットしており、かのタランティーノ監督も、これを観て栗山千明を『キル・ビル』に出演させたくらいの傑作アクションだ。
最近まで全米では『バトロワ』は公に公開されていなかったものの、コアなマニアの間では存在を知られており、いやらしいことに本作『ハンガーゲーム』の公開を機に全米で『バトロワ』のDVDが発売され、そこからいわゆる“パクリ疑惑”の火が付き始めたわけだ。
じゃあ、どんなところがパクリと言われているの?となると、僕なりに感じた類似点をちょいと列挙してみる。
1.仮想の独裁国家
2.ティーンエイジャーが最後の1人になるまで殺し合う
3.殺し合いの舞台は閉鎖された空間
4.サバイバル用具および殺しの道具はバッグで支給
5.死んだ人間は委員会から定期的に報告される
6.最後生き残るのは男1人女1人(恋愛感情あり)
7.生き残りは政府に目をつけられる
とまあこんな感じ。原作者のスーザン・コリンズ曰く「バトル・ロワイアル?そんなの見たことも聞いたこともないわ!」と言っているようだ。
しかし、1・2・3ならば“たまたま”似てしまった、という言い訳がギリギリ通りそうだが、4・5・6・7まで被るのはどうなんだ?と。4・5のような細かい設定まで似てるって、あんた、バトロワを知らなかったとは言わせねぇよ~!
僕は、原作者は『バトロワ』の存在は絶対に知っていたと思いまふ。
しかしながら本編を観る限り、僕の見解としては“設定を拝借した”程度であると思われます。
設定は拝借したが、『バトロワ』のような、中学生同士がストイックに殺し合うそれと違い、『ハンガーゲーム』は殺し合いにあまり焦点は当てず、むしろ過酷な殺し合いに参加させられた主人公カットニスの心境の変化と、同じ第12地区で選出されたピータとのほのかな恋愛模様を描いた、まさにティーンエイジャー向けの青春映画であると感じましたね。要するに『トワイライト』と同列の映画ですよ。ティーンにウケたのは、そういうところじゃないでしょうかね。3部作ですから、ラストから察するに、これから女1男2によるドロドロの三角関係が展開されるんじゃあないでしょうか。
“設定”はパクったけど、視点・主軸が違うよ、といった感じかと。
内容的に見れば、都合のいいところに殺人バチの巣があったり、都合よくリンゴが落ちて敵の兵糧を爆破できたりとご都合主義が散見されたし、委員会がコンピュータで火の玉作ってぶっ放してみたり、ブルドッグみたいなモンスターをクライマックスでいきなり登場させて、ラスボスをあっけなく殺しちゃったりと、サバイバルの醍醐味としては大して面白くはなかったが、なんだかんだで2時間半の長丁場ながら普通に観ちゃったし、ウディ・ハレルソン演じるキャラはカッコ良かったな~と。レニー・クラヴィッツが出てたのはビックリしちゃったけどね。なんかカマ臭かったけど。
そんなわけで、現在絶賛撮影中の『ハンガーゲーム2』もちょっと楽しみかな。でも、ティーンの恋愛模様はもういいです。オッサンなんで。
【2012年度 Myランキング】(9/29時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ムカデ人間2 ★★★★☆
2位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
3位:ドライヴ ★★★★
4位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
5位:最強のふたり ★★★★
6位:ダークナイト ライジング ★★★☆
7位:ゾンビアス ★★★☆
8位:アーティスト ★★★☆
9位:テルマエ・ロマエ ★★★☆
10位:愛と誠 ★★★☆
次点:劇場版SPEC~天~ ★★★☆
麒麟の翼~劇場版・新参者~ ★★★☆
タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:KOTOKO ★
2位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
3位:フライトナイト 恐怖の夜 ★★
<その他ランク外一覧>
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