「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
無茶は承知、連続ドラマ化希望
★★★☆
(★…1点 ☆…0.5点,★5つで満点)
(2012年/日本/128分)
【 監督・脚本 】
三池崇史
【 原作 】
貴志祐介
『悪の教典 【単行本】(文藝春秋)
【 出演 】
伊藤英明
二階堂ふみ
染谷将太
林遣都
浅香航大
水野絵梨奈
KENTA
山田孝之
平岳大
吹越満
【あらすじ】
生徒たちから“ハスミン”と呼ばれ慕われている高校の英語講師・蓮見聖司は、校内で起こる問題やモンスターペアレントにも動じず親身に対応し、校長をはじめ教師からも絶大な信頼を得ている。
そんな“信頼を得過ぎている”蓮見に疑惑を感じた釣井教諭は、蓮見の経歴に不信を抱く。同じく、蓮見に集団カンニングを阻止された男子生徒の早水も蓮見に疑惑を抱いていた。
実は蓮見は、自分に都合の悪い人間を次々と殺していく“サイコパス”という裏の顔を持っていた。
そして生徒たちが泊りがけで準備中の文化祭の前日、ひとつの些細なほころびがきっかけで、蓮見は生徒たちを皆殺しにしようと思いつき、ショットガンを片手に実行に移す―
【コメント】
えー本作『悪の教典』、実のところ僕は既に貴志祐介の原作を読んじゃっておりまして。筋書き、登場人物、そしてクライマックス、ラストに至るまでの流れを把握したうえでの鑑賞となっております。
読書という習慣については、読む時と読まない時との波が激しい僕なのですが、貴志祐介の本はなぜか手にとって読んでしまう。なんだかんだでエンタテイメントに徹していて面白いんですね。「黒い家」しかり、「硝子のハンマー」しかり、「クリムゾンの迷宮」しかり。誰か「天使の囀り」を映像化してくれないかな~
てなわけで、既読である以上、あのクソ長い原作を三池崇史監督がどう料理しているかが本作の僕の視点となるわけです。と同時に個人的には、2012年最後の大期待作品でもあり、公開前から非常に楽しみにしておりました。
まあ、原作者である貴志祐介本人までもがセリフ付きでチョイ出演してるくらいですから、当の本人もお気に入りの作品なのでしょう。
まず、なんといっても“ハスミン”というキャラクターは、サイコパスという、己の利益のためならば人殺しをも全然躊躇しないというキチ○イでありながら、生徒のみならず読者までもが魅了されてしまう不思議な魅力を持ったキャラだが、劇中の動くハスミン・伊藤英明はまさにピッタリの配役であったなと。
ほんと、ハスミンは伊藤英明以外思いつかない、と思わせるくらいのハマりようで、ぶっちゃけ、本作の魅力の8割は伊藤英明なのではないかと。
『ヒミズ』の染谷&二階堂コンビや、リアルでホモホモしい林遣都などの新進若手俳優や山田孝之、吹越満のようなベテランがこぞって出演しているものの、やはりハスミンの魅力を超えることはできなかった。
というか、体育教師は山田孝之である必要はなくね?もっといやらしくてゲスな感じの俳優でよかったように思う。ドラムテクニックの披露もストーリーには何の意味もないしね。
次にストーリーの件だが、上記のとおり既に原作が頭に入っていたため、ハスミンが一体どういう行動を取っているかというのはよく分かったのだが、果たして原作未読の者がハスミンの一連の行動を理解できたのかは疑問に感じるところ。
前半部分で校内で起こっているさまざまな問題を一気に見せているもんだから、ちょっとややこしく感じた人がいるのではないか?と思慮します。そして、肝心かなめクライマックスの生徒皆殺しの意図を果たして理解できたのか?
前半はちょっと込み入り過ぎていたのではないかなと。むしろ、原作どおりにカラスの電気死刑から徐々にハスミンの異常性を小出しにお披露目していったほうがキャラクターもさらに引き立ったのではないかと思う。
とはいえ、最大の見どころ、クライマックスの生徒全員皆殺しシーンは、未成年が意味なくショットガンでブッ殺されていくという不謹慎かつ不条理なものでありながら、むしろ爽快感さえ感じさせる素晴らしいシーン。
もっとも、上下巻ある原作においても、下巻のほとんどをこの殺戮シーンに費やしているわけで、映画でもあれだけ短時間で殺されまくれば、もう拍手喝采しながら観るしかない。クライマックスだけでも十分観る価値がある、これぞ三池監督の成せる技ですな!
そして気になるのは、エンディングで登場する「to be continued」の文字。原作無いのに続けるんかい!
しかし、確かに「ハスミン=伊藤英明」のキャラをこのまま終わらせるのはもったいない。原作者自身もやはりお気に入りのようで、曰く「続編を書きたいが、これを超えるストーリーがまだ思い浮かばない」とのこと。
なるほど、そういう意味でto be continuedなわけね。個人的にも、あのラストから一体どうやって続けていくのかは気になるところ。貴志先生、がんばってアイデア絞り出してね!
というわけで、ストーリー展開としては言いたいことが山ほどあるものの、伊藤英明の雄姿と、クライマックスを観るだけでも十分に楽しめる作品となっておりました。
まあでも、原作からかなり端折った部分もありますからね。興味を持った方はぜひとも原作を読んでみることをお勧めします。
そして、原作を読んだ人間としてやはり思うことはひとつ。
無茶は承知、連続ドラマ化を希望。
まあBPOが許さねーか。
【2012年度 Myランキング】(11/11時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:ムカデ人間2 ★★★★☆
2位:アウトレイジ ビヨンド ★★★★☆
3位:ライアーゲーム ‐再生(REBORN)‐ ★★★★
4位:ドライヴ ★★★★
5位:ドラゴン・タトゥーの女 ★★★★
6位:最強のふたり ★★★★
7位:ダークナイト ライジング ★★★☆
8位:アルゴ ★★★☆
9位:ザ・レイド ★★★☆
10位:アイアン・スカイ ★★★☆
次点:ゾンビアス ★★★☆
アーティスト ★★★☆
テルマエ・ロマエ ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:KOTOKO ★
2位:貞子3D[2Dバージョン] ★☆
3位:ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ★★
<その他ランク外一覧>
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