桐島、部活やめるってよ　（評価：★★★☆）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

青春映画の名を借りた社会人向け映画

★★★☆
（★…1点　☆…0.5点，★5つで満点）

（2012年／日本／103分）

【　監督・脚本　】
吉田大八

【　原作　】
朝井リョウ
桐島、部活やめるってよ【集英社文庫】Image may be NSFW.
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【　出演　】
神木隆之介
橋本愛
東出昌大
大後寿々花
清水くるみ
山本美月
松岡茉優

【あらすじ】

　高校男子バレーボール部のキャプテン“桐島”が、突然部活を辞める。
　それをきっかけに同級生や“桐島”と親しかった者、恋人、部活メンバー、そして何の関係もない生徒たちに変化が訪れる―

【コメント】

　さて、「今年見逃した映画をちゃっちゃと観てしまおう」シリーズのラストとなります『桐島、部活やめるってよ』。
　都内ではまだ１軒だけ劇場公開されていたので、これを逃す道はあるまいと、カップルが蔓延るクリスマスイヴの街中を掻き分け観に行ってきました。

　いきなりですが、本作に登場する女の子の中では山本美月がお気に入り。イケ好かない役柄ではありますが、僕は大人っぽい女の子が好きッス。
　とは言っても、橋本愛のミステリアスな雰囲気や、大後寿々花のどこか垢抜けない野暮ったい雰囲気のコも悪くない。まあ、何が言いたいかと言えば、若いってイイネ！ってことです。

　戯言はここまでとして、学園ドラマよろしく、神木隆之介はじめ出演者は今をときめく若手中の若手が揃っているわけですが、まあそんな同年代の出演者につられて本作を観たナウなヤングは、おそらくポカーンですよね。
　本作は一種の群像劇であって、特段誰かが主役というわけではない。「桐島がバレーボール部を辞める」ことで、周りがきりきり舞いになる様を描いている“だけ”であって、ぶっちゃけ何の展開もなければ、何らどんでん返しもない。結局何かが解決するわけでもなければ、肝心の中心人物である“桐島”自体が一度も登場しない。
　さて、これは一体なんだったのでしょうか？というのが、結局のところ映画の“キモ”なんでしょうね。

　僕は、ひとつのある“事象”における周りの人たちの行動、いわば社会の縮図を描いているのではないか、と感じるわけです。そしてその縮図は、学校という一見閉鎖的な場所でも、社会という広い世界においても何ら変わりない。直接ダメージをくらう人間、振り回される人間、心配するフリをして面白がっている人間、何の関係もないのに巻き添えをくらう人間…。そんな人間たちを、それぞれの人間の視点に立って表現した、そんな感じがします。
　社会人、特に中堅どころや酸いも甘いも噛み分けてきた年配の大人なんかは、この構図がどの社会コミュニティにおいても当てはまるな、と感じるのではないでしょうか。だから例えば、「専務、会社やめるってよ」とか、「あそこの団地の中村さん、引っ越すってよ」とか、「４丁目のおじいさん、死んだってよ」でもいいわけです。こんな些細な“事象”によって、見えてこない人間模様が分かっちゃったりするんですね。

　本作は、青春映画の名を借りた大人向け、社内人向けの映画なのではないかと僕は感じましたね。
　何度か繰り返して観れば味が出てくるスルメ映画であるような気がします。
　ちなみに、映画でいけば僕は間違いなく映画ヲタの前田です。

【2012年度 Myランキング】（12/24時点）

　本作は、本年度の次点にランクイン。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ムカデ人間２　★★★★☆
　　２位：アウトレイジビヨンド　★★★★☆
　　３位：任侠ヘルパー　★★★★☆
　　４位：ライアーゲーム　‐再生（REBORN）‐　★★★★
　　５位：ドライヴ　★★★★
　　６位：ドラゴン・タトゥーの女　★★★★
　　７位：最強のふたり　★★★★
　　８位：哀しき獣　★★★☆
　　９位：ダークナイトライジング　★★★☆
　１０位：アルゴ　★★★☆
　　次点：ザ・レイド　★★★☆
　　　　　アイアン・スカイ　★★★☆
　　　　　桐島、部活やめるってよ　★★★☆

（ワースト）…　★★☆以下が基準

　　１位：KOTOKO　★
　　２位：貞子3D［2Dバージョン］　★☆
　　３位：ものすごくうるさくて、ありえないほど近い　★★

＜その他ランク外一覧＞
ロボジーヒミズ ALWAYS三丁目の夕日'64 麒麟の翼～劇場版・新参者～メランコリア逆転裁判ヒューゴの不思議な発明ゾンビアス TIME／タイムアーティスト劇場版SPEC～天～バトルシップ捜査官X テルマエ・ロマエ REC/レック3ジェネシスダーク・シャドウメン・イン・ブラック３イップ・マン誕生月光ノ仮面ジョニー・イングリッシュ気休めの報酬タッカーとデイル　史上最悪にツイてないヤツら愛と誠アタック・ザ・ブロックアメイジング・スパイダーマンミッドナイト・イン・パリ崖っぷちの男ラバーペントハウスおおかみこどもの雨と雪シャーロック・ホームズシャドウゲームトータル・リコールアベンジャーズアフロ田中プロメテウスフライトナイト恐怖の夜踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望バイオハザードⅤ リトリビューション鍵泥棒のメソッド楊家女将伝　女ドラゴンと怒りの未亡人軍団アポロ18 ハンガーゲームブレーキグレイヴ・エンカウンターズエクスペンダブルズ2 私の奴隷になりなさい北のカナリアたちアイアンガール私が、生きる肌悪の教典トロール・ハンターロボット DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見るセルビアン・フィルムカラスの親指王朝の陰謀判事ディーと人体発火怪奇事件 007スカイフォールベルフラワーピラニアリターンズポテチシャーク・ナイトヤング≒アダルト裏切りのサーカス別離

　以上をもって『シネマ報告書2012』を締めることとします。
　なお、上記「2012年度Myランキング」については、２ちゃんねる「映画一般・8mm板」におけるスレッド『★投票★ 今年のベスト映画＆ワースト映画 2012』に今年中に投票します。