リアル鬼ごっこ　（評価：★★★☆）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2015』の掲載にあたって」

原点に立ち戻った園子温

★★★☆

（2015年／日本／85分）

【　脚本・監督　】
園子温

【　原作　】
山田悠介

【　出演　】
トリンドル玲奈
篠田麻里子
真野恵里菜
桜井ユキ
高橋メアリージュン
磯山さやか
斎藤工

【あらすじ】

　修学旅行中のバスで突然得体のしれない何かにクラスメートを惨殺され逃げていた女子高生ミツコは、なぜか気付くと学校の教室に来ていた。そこにいるはずのないクラスメートたちに囲まれ、いつもと変わらぬ光景が繰り広げられるが、そこでも突然クラスメートたちが惨殺され、親友のアキたちとともに逃げる。
　一体自分たちを追い回しているのは何者なのか。理由がわからないまま仲間たちも次々と殺されていく―

【コメント】

　2015年はまさに園子温イヤー。
　今年は園子温監督作品が計4本も公開されるということで、本作は間髪入れず『新宿スワン』『ラブ＆ピース』に続く3作目ということになります。とってもワーカホリック。
　原作である「リアル鬼ごっこ」は、以前にもシリーズで映画化されていましたが、本作はそのシリーズとは全く関係ない“園子温版リアル鬼ごっこ”。しかも、設定をちょいと拝借しただけで中身は完全に園仕様という事前情報が入っており、逆にどんな感じで料理されているのだろうかと興味津々で劇場に足を運んだ次第です。
　いやしかし、相変わらず上映館数少ないですな。

　いやもう、訳ワカンネーの一言。原作完全無視、基本設定も完全無視、ストーリーすらもどこへやらのグロ全開パ●チラ全開のトンデモシチュエーションホラーでした。
　案の定、ネットでは「グロいだけ」「最低」「金返せ」「今年一番のクソ映画」という言葉が乱舞する低評価の雨あられ状態。確かにそう言いたい気持ちも分からんでもない作品なのは間違いない。オープニングからいきなりバス真っ二つのＪＫ真っ二つの大惨事シーンから始まり、トリンドルが泣きながら道路走ってるとなぜか学校に通ってて、授業サボって青春を謳歌してたら教師がいきなりマシンガンぶっ放してＪＫぶち殺しまくって、トリンドルが急に上から麻里子に変身して結婚式場で豚と結婚させられそうになって、今度は真野恵里菜に変身して駅伝やってて、なぜかゲームの世界から飛び出して斎藤工とベッドインして・・・と、とにかく展開が荒唐無稽もいいところで、鑑賞後も結局この映画はなんだったのかという疑念に駆られるトンデモ映画なんです。

　しかし、僕はあえて肯定派に回らせてもらいます。本作を観た時、僕は園子温の初期作品『自殺サークル』が頭に浮かびました。『自殺サークル』もとにかくグロ満載のワケワカメ映画なんですが、それと本作の空気というか意味不明な爆発力がとても共通しているんですよね。訳が分からないのになぜか見入ってしまう不思議な力、観終わっても強烈に印象に残るインパクト、それが本作に備わっているし、それがそもそもの園子温映画の魅力なんじゃないか、そう思うんです。
　本作を何度見直しても、おそらく映画の意図する部分にはたどり着けないと思うし、そもそも映画に意味なんて無い、きれいにまとめる気なんてさらさらないぜ！と園子温は言っているんじゃないんじゃないかと思います。