「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
そして伝説へ・・・胸糞悪さをありがとう
★★★☆
(2015年/アメリカ・オランダ/108分/The Human Centipede Ⅲ (Final Sequence))
【 製作・脚本・監督 】
トム・シックス
【 出演 】
ディーター・ラーザー
ローレンス・R・ハーベイ
ブリー・オルソン
トム・シックス
北村昭博
エリック・ロバーツ
【あらすじ】
独裁的権力を奮い、暴動数、医療費、離職率が全米1となってしまったジョージ・ブッシュ刑務所の所長ビル・ボス。
州知事にこの状況を即刻改善するよう命じられ、できなければ解雇という通達を受けてしまったビル・ボスは、相変わらずの独裁政治でますます事態を悪化させてしまう一方。
そんな時、ビルの右腕である会計士ドワイトは映画『ムカデ人間』『ムカデ人間2』をビル・ボスに見せ、事態を改善するよう提案する。
かくして、500人の囚人たちを繋げる壮大な“ムカデ人間”製造計画の火蓋が切って落とされる―
【コメント】
待ってました!
“人間の口と肛門を繋げる”というとんでもない発想から生まれた2010年の衝撃作『ムカデ人間』、前作とは比べものにならないどころか、ホラー映画史上最もどす黒く極悪な超絶グロ映画である2011年の続編『ムカデ人間2』。
あれから4年、ついに待ちに待った待望の完結編である本作『ムカデ人間3』が満を持しての公開となりました!いやー待ちくたびれましたよトム・シックス監督。この日が来るのを指折り数えて待っておりました。
残念ながら初日のイベントには参加できず、1週遅れての鑑賞と相成りましたが、前作と同様夜21:00一回のみの上映とあって、都内で唯一公開されている映画館「新宿武蔵野館」はムカデ人間ファンでいつになくごった返してました。しかも上映3時間前だというのに9割5分の席が予約で埋まっていたという。さすがのカルト映画、人気ぶりが伺えます。
そんなわけで、完結編となる今回はどんな出来に仕上がっているのか、前作のようにまた吐き気をもよおす事になってしまうのか、期待いっぱい不安いっぱいで鑑賞した次第です。
完結編はまさかのブラックコメディ!しかしこれはこれでアリだ!
「1と2が全く別物の映画であったように、3も全く違う映画になる」
本シリーズの監督であるトム・シックスは以前からこのようにアナウンスしていましたが、その言葉どおり本作は前作・前々作とは全く趣の異なった「ムカデ人間」となりました。
しかし、まさかブラックユーモア溢れるコメディ映画に仕立てるとは!
今回は、前作の壮絶凄惨なグロ描写は鳴りを潜め、とにかく刑務所長ビル・ボスと会計士ドワイト、そしてセクシー秘書が繰り広げるバカ展開満載のブラックなコメディ映画でした。
1の王道のホラー的要素や2のような超絶グロ描写を期待したファンからすればガッカリするかもしれません。しかも、肝心の500人ムカデ人間が登場するのはクライマックスのみ。映画のほとんどはビル・ボスとドワイトのしゃべくり漫才に終始するという。途中でもいろいろとありますけどね、それでもムカデ人間の誕生まで引っ張るだけ引っ張るので、期待に胸ふくらませたファンは肩透かしをくらうのも頷けます。
しかしながら、僕はこれはこれでアリ!と思っています。
確かに、僕が大傑作と称した前作と比べるとパワーダウンは否めませんが、なんだかんだ言っても二人のやり取りやめちゃくちゃなバカ展開は楽しめたし、500人ムカデ人間は壮観。トム・シックス本人によるすっとぼけた演技も笑えるし“イモムシ人間”なるものまで登場するサービス精神。
ラスト、州知事が放つ「すばらしい!これぞアメリカが望んでいるものだ!」というセリフは、観客たちのいちばんの大爆笑をさらった一言です。これはおそらく、なんでもかんでもハッピーエンドに持っていくハリウッド映画へのシックス監督なりの皮肉なんだなと感じましたね。
とにかく、僕は3大好きです!
今回はディーター・ラーザー独断場!
今回は、1のマッドサイエンティスト・ハイター博士役を演じたディーター・ラーザーと、2の超絶キモ男マーティンを演じたローレンス・R・ハーベイの夢の競演が見どころのひとつとなっていますが、本作はディーター・ラーザーの独断場状態です。
前作で強烈だったローレンス・R・ハーベイは、一転してコロコロと愛嬌のあるデブチンになって大人しめですが、それとは対照的にディーター・ラーザーの笑えるくらいのオーバー演技は強烈の一言!ハイター博士どころじゃない最後まで上がりまくりなテンションの演技は主演男優賞モノですよ!
ラスト、ビル・ボスが監視塔からライフルを打ちまくって叫んでいるシーンは、3作品を締めくくるには最高の場面だったと思います。
『ムカデ人間3』はムカデ人間を愛してくれたファンへのプレゼント
とはいえ、やっぱりこれまでの作品を観てファンになった人たちからすれば、物足りなさを感じるだろうとは思います。
しかし、1のマッドサイエンティスト・ハイター博士、2の超絶キモ男マーティン、1のムカデ人間の先頭になった北村昭博、そしてシリーズの監督トム・シックスまでもが一堂に会する本作。大問題作として上映禁止にまでなったこのシリーズの完結編にここまでしてくれるということは、このアイデアを気に入り応援してくれたファンへの感謝を込めたプレゼント的位置付けなんだと思います。
本作を単純にツマンネと評するのもいいと思いますが、トム・シックス監督からファンへ送った感謝のメッセージ、本作から感じ取ってあげましょうよ。
そして伝説へ・・・さらばムカデ人間、胸糞悪さをありがとう
そんなわけで、完結編は好き嫌い分かれる出来だと思います。というか、このシリーズ自体好き嫌いの類ですが。
ですが、この「ムカデ人間」サーガ、近年稀に見るホラー映画のカルト作品として伝説と化していくことは間違いないでしょう。
ひとつのアイデア“人間の口と肛門を繋げる”から始まった「ムカデ人間」シリーズ、トム・シックス自身もよもやここまでカルト的人気を誇る存在に化けてしまうとは思ってなかったのかも知れません。
さらばムカデ人間、あなたからもらった“胸糞悪さ”はいつまでも心に刻まれることでしょう。ありがとう、ありがとう。
“邪悪”の星に生まれたトム・シックスの新作に期待大!
そんな伝説のカルト映画を世に送ったトム・シックス監督。
パンフレットによると、次回作は『The Onania Club』という映画の撮影準備に取り掛かっているという。内容はまだ明かされていないが、「ショッキングでダークでとても邪悪な作品になる」とのこと。
これはつまり、『ムカデ人間2』の再来ではなかろうか!?と、今から期待に胸が膨らみまくってます。というか、『ムカデ人間2』を超えられたら、僕はもはや正視できそうにありませんが。
イケメンでセクシーで優しそうな風貌なのに、“邪悪”という星の下に生まれたかのような作品を撮り続けるトム・シックス監督。次回作でもさらなる“胸糞悪い映画”を見せてくれることを心より願っております!
【2015年度 Myランキング】(8/30時点)
本作は、本年度のベスト10中10位(暫定)にランクイン。
もしかして夏終わり?
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
2位:チャッピー ★★★★
3位:フォックスキャッチャー ★★★★
4位:映画 ビリギャル ★★★★
5位:野火 ★★★★
6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
7位:セッション ★★★★
8位:プリデスティネーション ★★★★
9位:ナイトクローラー ★★★☆
10位:ムカデ人間3 ★★★☆
次点:リアル鬼ごっこ ★★★☆
ザ・トライブ ★★★☆
Zアイランド ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:極道大戦争 ★
2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★
<その他ランク外一覧>
96時間 レクイエムシン・シティ 復讐の女神神様はバリにいるバンクーバーの朝日激戦 ハート・オブ・ファイトビッグ・アイズジョーカー・ゲームREC/レック4 ワールドエンドANNIE アニーミュータント・タートルズデッドハングマッハ!無限大アメリカン・スナイパーソロモンの偽証 前篇・事件AFFLICTED アフリクテッドシェフ 三ツ星フードトラック始めました余命90分の男ハネムーンイミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密エイプリルフールズジュピターソロモンの偽証 後篇・裁判バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)ワイルド・スピード SKY MISSION寄生獣 完結編龍三と七人の子分たちシンデレラマッド・ナースラン・オールナイトイニシエーション・ラブメイズ・ランナー新宿スワン予告犯ピッチ・パーフェクトインド・オブ・ザ・デッドトゥモローランドラブ&ピースマエストロ!アナベル 死霊館の人形アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンターミネーター:新起動<ジェニシス>バケモノの子スペシャルID 特殊身分HEROゴッド・ギャンブラー レジェンドジュラシック・ワールドミッション:インポッシブル ローグ・ネイション幕が上がる死霊高校ワイルドカード
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