「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
「オチがすべて」の平々凡々スリラー
★★★
Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH
(2014年/ドイツ/106分/Who Am I - No System Is Safe)
【 脚本・監督 】
バラン・ボー・オダー
【 出演 】
トム・シリング
エリアス・ムバレク
ボータン・ビルケ・メーリング
アントニオ・モノー・Jr.
ハンナー・ヘルツシュプルンク
トリーネ・ディアホルム
【あらすじ】
凄腕のハッカーとして世間を震撼させたベンヤミンが突如警察に出頭してくる。ベンヤミンはハッキングがきっかけで殺人事件の容疑者になっており、命が狙われているというのだった。
学校でいじめられ孤独だったベンヤミンは、ひょんなきっかけでマックスと知り合い、マックスの仲間ステファンやポールと共にハッキングチーム“CLAY”を結成する。
さまざまなシステムをハッキングし、謎のハッカーチーム“MRX”の目にも止まることとなったが、深みにはまりすぎてロシアのサイバーマフィア“FR13ENDS”まで巻き込み、命の危険に晒されるようになってしまう―
【コメント】
さて、「新宿武蔵野館」での『ムカデ人間3』鑑賞時の予告編において、「おー!こりゃ面白そうだ!!!」と目を引いた本作。映画好きならたまらない“どんでん返し映画”ということで、毎度この宣伝文句に何度もスカされているにもかかわらず、シルバーウィークということで新宿の夜に足を運んだ次第。
Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH
「オチがすべて」の平々凡々スリラー
うん、まあまあです。ぶっちゃけて言うとオチがすべて、オチありきの平々凡々なサイバースリラー映画でしたかね。
ハッキングという現代社会における新手の犯罪組織を題材に、スタイリッシュでスピーディーにカッコよくストーリーが展開されますが、いまいち話にかぶり付けない。さほどの面白味が感じない平凡な展開なんですよね。それでいて、主人公ベンヤミンとマリとのほのかな恋愛模様が、テンポよく進んでいた展開を阻害してしまっている。
観ている人からすれば、「この映画にはオチがある」という前提で観ているわけだから、結果的には“オチありき”、オチ以外の見どころが特段見当たらない映画になっちゃていたのは残念。
さほどの驚きは感じない二重どんでん返し
その肝心のオチですが、それも結局は使い古したネタ。どんでん返しの後にまたどんでん返しが待っている二重構造のオチになっているんですが、二重だろうが三重だろうが結局は無駄な抵抗に終わってしまった。
予測はできないかもしれないが、「えーマジかよ!?」みたいな驚きは皆無。先人たちが使いまくってるネタでした。
「100%予測できない」「ダマされた!」なんて大きく出た宣伝文句でしたが、まあこうでもしないと集客は見込めないでしょうしね。
ネット利用者なら覚えておくべき“ソーシャル・エンジニアリング”
とはいえ、劇中に何度か登場した“DDos攻撃”やら“ゼロデイ攻撃”やら“トロイの木馬”やら“ソーシャル・エンジニアリング”なる用語。
僕のようなコンピュータ関係に携わっている仕事からすれば馴染みのある用語でして、いわゆるコンピュータウイルスとかコンピュータの脆弱性を狙ったハッキング方法の用語がバンバンと登場するので、昨今のヘンテコリンなコンピュータ描写からすれば非常に現実的な描写だったかと思います。
ちなみに“ソーシャル・エンジニアリング”とは、、コンピュータの管理者やユーザーから、巧みな話術や盗み聞き、盗み見などの“外回り”の方法でもってパスワードなどを入手することでして、本作のハッカーが行った大胆な行動もこれに当てはまります。人間の心理を突いたハッキング方法なので皆さん気をつけましょう。
「破れないシステムはない」それは人間が作ったものだから
個人情報やカード決済など、今やもうコンピュータネットワークで何でもできちゃう時代になっていますが、進化してもそれに見合うハッカーが登場し、情報漏えいで日々ニュースで報道され社会問題化してますよね。
いかに頑丈なシステムであっても、それは結局は人間が作ったもの。本作のハッカー達も「破れないシステムはない」と豪語しているように、絶対どこかに必ず隙があるものです。結局はマシン言語に過ぎないわけですから、それを読める人間がいる限り盤石であるとは限りません。
システム管理者とハッカーは実のところイタチゴッコなわけで、補強されては突破されの繰り返しであることはネットユーザーは周知しておくべきだと思います。
“マインドファックムービー”とは何ぞ!?
ところで、本作の宣伝文句にある“マインドファックムービー”なる造語。
パンフレットによると、「頭が混乱するような作りや映画全体を覆す仕掛けやどんでん返しが用意されている作品。観終わった後に『やられた!』もしくは『えー!』と100%叫びたくなるような映画のこと」とのこと。
要するに、どんでん返しがあったり複雑すぎてややこしい映画のことのようですが、一応ググってみたら見事に本作しか検索に引っかかってこなかったので、おそらくは本作のために作った用語のようです。
なんでしょう、流行らす気なんでしょうかね。どうだろう、流行んないと思いますよ、多分。
Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH
【2015年度 Myランキング】(9/21時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
シルバーウィークオワタ・・・
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:マッドマックス 怒りのデス・ロード ★★★★☆
2位:チャッピー ★★★★
3位:フォックスキャッチャー ★★★★
4位:映画 ビリギャル ★★★★
5位:野火 ★★★★
6位:アゲイン 28年目の甲子園 ★★★★
7位:セッション ★★★★
8位:プリデスティネーション ★★★★
9位:キングスマン ★★★☆
10位:おみおくりの作法 ★★★☆
次点:ナイトクローラー ★★★☆
ムカデ人間3 ★★★☆
テッド2 ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:極道大戦争 ★
2位:ストレイヤーズ・クロニクル ★☆
3位:進撃の巨人 ATTACK ON TITAN ★★
<その他ランク外一覧>
96時間 レクイエムシン・シティ 復讐の女神神様はバリにいるバンクーバーの朝日激戦 ハート・オブ・ファイトビッグ・アイズジョーカー・ゲームREC/レック4 ワールドエンドANNIE アニーミュータント・タートルズデッドハングマッハ!無限大アメリカン・スナイパーソロモンの偽証 前篇・事件AFFLICTED アフリクテッドシェフ 三ツ星フードトラック始めました余命90分の男ハネムーンイミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密エイプリルフールズジュピターソロモンの偽証 後篇・裁判バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)ワイルド・スピード SKY MISSION寄生獣 完結編ザ・トライブ龍三と七人の子分たちシンデレラマッド・ナースラン・オールナイトZアイランドイニシエーション・ラブメイズ・ランナー新宿スワン予告犯ピッチ・パーフェクトインド・オブ・ザ・デッドトゥモローランドラブ&ピースマエストロ!アナベル 死霊館の人形アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロンターミネーター:新起動<ジェニシス>バケモノの子リアル鬼ごっこスペシャルID 特殊身分HEROゴッド・ギャンブラー レジェンドジュラシック・ワールドミッション:インポッシブル ローグ・ネイション幕が上がる死霊高校ワイルドカードやるっきゃ騎士〈ナイト〉くちびるに歌を映画 みんな!エスパーだよ!さよなら歌舞伎町ピクセル進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールドピエロがお前を嘲笑う
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