「祈りの幕が下りる時」　★★★～素材はいいのにTVドラマの枠超えられず

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

素材はいいのにTVドラマの枠超えられず★★★

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

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【　出演　】阿部寛
松嶋菜々子
溝端淳平
田中麗奈
キムラ緑子
烏丸せつこ
春風亭昇太
音尾琢真
飯豊まりえ
上杉祥三
中島ひろ子
桜田ひより
及川光博
伊藤蘭
小日向文世
山崎努

【あらすじ】

　東京都葛飾区のあるアパートで、死後20日ほど経過した女性の絞殺死体が発見される。

　被害者はハウスクリーニングの会社に勤める滋賀県在住の押谷道子、殺害現場であるアパートの住人・越川睦夫も行方不明になっているが、押谷道子との接点が全く見つからず、捜査は難航する。

　押谷道子は学生時代の同級生である演出家・浅居博美を訪ねて東京に出てきたことが判明するも、浅居博美と越川睦夫との間にも接点はなかったが、松宮は近くで発見された焼死体との関連を疑った。

　やがて捜査を進めるうちに、加賀恭一郎の母の死に繋がっていく―

【コメント】

　さて、今回はTVドラマの映画化で2012年『麒麟の翼～劇場版・新参者～』として公開された東野圭吾原作の「新参者」シリーズ、最後の映画化である本作を鑑賞。

　ぶっちゃけ、TVドラマはおろか原作すらも未読のなかで鑑賞しましたが、前作も予備知識なしで十分楽しめる作品だったので今回も大丈夫だろうとタカをくくり、「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

素材はいいのにTVドラマの枠超えられず

　うむ、良かったッス。東野圭吾の泣けるミステリー、前作に引き続き堪能させていただきました。

　先に言ったとおり、原作もTVドラマも知らないまま鑑賞しているので、主人公・加賀恭一郎の母親とか家庭事情とかほぼ予備知識がないにもかかわらず、一本のミステリーとして十分に楽しめる。おそらくは原作もしっかり練られたものだと思うので破綻もなく面白い。阿部寛の演技もますます渋みと重厚さが深まって大人のカッコよさを感じる。

　しかしながら前作と同様、“映画”というコンテンツとしては弱い、TVドラマの枠を超えられていない気がしましたね。本作はもっと丁寧に作れば、かなり重厚でドラマチックなミステリーに仕上がっていたと思います。それだけに、TVドラマの安さが垣間見えてしまったのは非常に残念ですな。

相変わらずカッコイイ阿部ちゃん、松嶋菜々子は・・・

　先にも言いましたが、相変わらず阿部ちゃんはカッコイイな～と感じる今日この頃。御年53歳でありながら、モデル体型を維持したままイケメンの高身長。それでいて、シリアスな役からコミカルな役まで幅広くこなす多才ぶり。阿部ちゃんが出演する映画はハズレなしと勝手に思ってます。

　かたや、本作のキーパーソンである松嶋菜々子ですが、44歳とは思えない相変わらずの美貌であるものの、どうにも演技が今一つ。小さい頃から苦労に苦労を重ねて一流の演出家に成りあがったわけですが、いまいちその深みというか積年の恨みのような感情が彼女から伝わってこない。美人女優という肩書をいまいち捨てきれないような感じがしますね。そろそろ演技派女優にシフトする努力をするべきだと思います。

旬な若手女優、飯豊まりえ・桜田ひよりに期待

　本作のカギを握る演出家・浅井博美の少女時代を演じた桜田ひよりと、若き頃を演じた飯豊まりえ。どちらも最近よく映画やドラマで見かけるまさに旬な若手女優ですな。特に桜田ひよりは先に鑑賞した『咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A』で主役を張ってるし、非常に個性的な顔立ちをしているので今後の活躍が期待できます。

　飯豊まりえもまたしかり。彼女も映画やドラマに出ずっぱりといっても過言ではないくらい見かけますね。この二人の若手女優の今後の活躍に期待です。