「ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書」　★★★～スピルバーグの賞レース向け映画

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

スピルバーグの賞レース向け映画★★★Image may be NSFW.
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(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC. （2017年／アメリカ／116分／The Post） 【　製作・監督　】スティーブン・スピルバーグ

【　出演　】メリル・ストリープ
トム・ハンクス
サラ・ポールソン
ボブ・オデンカーク
トレイシー・レッツ

【あらすじ】

　1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、国民の間に反戦の気運が高まっていたニクソン政権時代のアメリカ。

　アメリカの新聞社ニューヨークタイムズは、内部からの告発による国防総省がベトナム戦争に関する経過や分析を記録したトップシークレット“ペンタゴン・ペーパーズ”をスクープするが、その後の記事を政府の圧力によってで差し止められてしまう。

　ワシントン・ポストの女性社長キャサリン・グラハムは、編集主幹ベン・ブラッドリーらとともに、真実を明らかにしようとするが、政府からの圧力はますます強くなっていく。そして、政府を相手取った訴訟にまで発展していく―

【コメント】

　さて、2018年も暮れに差し掛かり、そろそろ今年劇場で見逃していた映画を総ざらいしておこうかとレンタルしてきたのが本作。巨匠スティーブン・スピルバーグの社会派映画ですね。ここ数年は得意のSFものと実録ものをテレコでコンスタンスに監督してますな。

　劇場公開当時はどうにも食指が伸びなかった本作ですが、アカデミー賞のノミネートにもなっていただけに、これは今年中に観といたほうが良いと判断し手に取った次第です。

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(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and Storyteller Distribution Co., LLC.

　ふむ、なるほど、今回は新聞社を舞台にした実録社会派ものですな。スピルバーグらしい淡々とした演出ながら、確かな奥行きとテーマを感じさせる社会派ドラマでしたね。なかなかに面白かったです。思うに、もっとも、スピルバーグは本作で「今度こそアカデミー作品賞取ってやるぞ！」という意気込みで作った賞レース向けの映画だったように感じましたけどね。

　本編ではベトナム戦争や当時のニクソン政権が背景にあるなど、日本としてはいまいちピンとこない部分もあろうかとは思いますけど、ストーリーはいたってシンプルで、政府が隠し持っているベトナム戦争の機密文書を新聞社がスクープし、政府から圧力をかけられながらも、それに屈せず国民のため国の未来のために、真実を報道する新聞記者たちの奮闘を描いたもの。ラストは予想どおり「真実は勝つ！」といった爽快な終わり方で、非常にスッキリしますね。

　本作でスピルバーグ御大が伝えたかったことは、やっぱり近代アメリカの歴史を通じ、いかに今の時代を変えてきたか、決して歴史の教科書には載らずとも時代を変えてきた人たちへの敬意を込めているんだと思いますね。傲慢で絶対的な権力を奮っていた当時のアメリカ政権に対し、国の未来を支える若者たちを死地に追いやることは間違っていると、新聞社が権力に立ち向かい真実を暴く。国は国民のためにあるのだ、という民主的かつ基本的、普遍的なテーマがここにはあると思いましたね。

　いやでも、最近は芸能人の熱愛やら不倫やらばっかりのゲスな記事ばかりで、いったいメディアの真実とは何なのかと小一時間問いただしたいところ。もっと、国を動かす真実のスクープをするようなメディアであってほしいですな。

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