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「来る」 ★★★☆~恐怖の源は人間である

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

 
恐怖の源は人間である
★★★☆
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(C)2018「来る」製作委員会
 
(2018年/日本/134分
 
【 脚本・監督 】
中島哲也
 
【 原作 】

澤村伊智

 

【 出演 】
岡田准一
黒木華
小松菜奈
松たか子
妻夫木聡
青木崇高
柴田理恵
太賀
伊集院光
石田えり
 

 

【あらすじ】

 
 新婚の田原秀樹と妻の香奈。妊娠した香奈と幸せを共有する秀樹だったが、彼の職場に「チサさんの件で」という伝言とともに謎の訪問者が訪れる。訪問者の正体は分からずじまいだったが、チサとは秀樹が生まれる子供につけた名前で、まだ誰も知らないことだった。そして、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。
 それから2年後。イクメンパパとしてブログを更新する毎日の秀樹の周りで怪奇な現象が起こり始める。恐怖を覚えた秀樹は、親友で民俗学者の津田の紹介により、オカルトライターの野崎と霊媒師の血をひくキャバ嬢・真琴に調査を依頼するが、田原家に憑いている“何か”は想像を遥かに超える強大なものだった。
 得体の知れない“何か”によって田原家は崩壊していく。そんな中、真琴の姉で、国内最強の霊媒師・琴子により、かつてない規模の祓いの儀式が始まろうとしていた―
 
 

【コメント】

 

 さてさて、今年もあと1ヶ月。師走の時期に今回鑑賞したのが、ちょいと楽しみにしていた中島哲也監督の4年振りの新作である本作。

 本作は僕も好きなホラー小説大賞で大賞を受賞した「ぼぎわんが、来る」の映像化で、それを『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』、『パコと魔法の絵本』などの快作を作った中島哲也の監督作品ということで、楽しみにしていた作品です。しかしながた、2010年『告白』は最高だったものの、2014年公開『渇き』が酷い出来だったので、一抹の不安を感じつつも、とにかく気になる作品だったので、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 

 

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(C)2018「来る」製作委員会

 

 

中島監督の良い面と悪い面が混在した映画

 

 本作、ネットでは賛否が分かれているようですな。そもそも中島監督の映画は毎度賛否が分かれる出来ですが、僕は本作に関しては肯定派。ホラーでありながら134分という長尺にもかかわらず飽きが全く来ない、面白い映画だったと思います。言いたいことはいろいろとありますけどね。

 本作はホラーという機軸を持ちつつも、登場人物の裏の顔を描いた人間の醜さというヒューマンミステリー的な要素が強いので、むしろドラマ的な見方をしたほうが面白いかもしれません。むしろ、そんな要素を含んでいたからこそ、中島監督は本作に挑戦したんでしょうな。

 しかしながら、ドラマ部分からのクライマックスの大掛かりな儀式の盛り上げ方はさすがとは感じましたが、全体的にライトな作りになっているので、いまいち怖さが伝わってこないし、中島監督特有のポップな描写がこれまた怖さを半減させていて、題材は面白いのに、もっと怖く作れるはずなのに、非常にもったいなかったかなと。『愚行録』のようにもっとドロドロで陰湿な作りのほうが怖さは倍増してもっと面白くなったんじゃないかと感じましたね。

 とはいえ、オムライスの国で映画を終わらすのは中島監督らしいな~とは思います。

 

 

柴田理恵の存在感は強力

 

 とはいえ、中島監督のキャスティングは相変わらず凄いの一言。主要人物から脇役、エキストラに至るまでキャラが立っていて、相変わらず印象に残る。

 妻夫木聡や岡田准一、松たか子、黒木華は言わずもがな、小松菜奈のパンキッシュで怠惰ながら、子供を守る強い意志を持つキャバ嬢霊媒師のインパクトは凄いし、なにより可愛らしい。

 そして何より、脇役ながら強烈なインパクトを残したのが柴田理恵。この方は普段テレビのバラエティ番組でしか僕は観る機会がないのですが、本作で演じるベテラン霊媒師の存在感はとにかく強力。登場早々、腕が吹っ飛んでしまったりと、決して登場回数は多くないんですが、それでも普段バラエティで観る出で立ちとは全く違う印象を与えてくれた柴田理恵に拍手ですね。

 本作は、そんなキャラだけを見るだけでも十分に楽しめる作品だと思います。

 

 

恐怖の源は人間である

 

 本作をホラーととらえて観ると、ビックリ演出もグロい描写もあまりないので、ホラー的な怖さを期待すると肩透かしを食らうかもしれません。本作でいう怖さというのは、むしろ人間の見えない部分にこそ垣間見える、恐怖の源は人間であるということなんでしょう。

 得体の知れない化け物“ぼぎわん”は、あくまでも得体の知れないものという位置付けを崩さず、最後までバックボーンや正体はよく分からない。本作が怖いのは、良いイクメンパパを演じ、子供や妻に全く関心のない上っ面と外面だけの男や、そんな旦那に愛想をつかし考古学者と不倫をする妻、その夫婦を陰で破局させようと根回しする考古学者、彼らが持つ醜い人間の本性にこそあるということですね。

 

 

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(C)2018「来る」製作委員会

 

 

【2018年度 Myランキング】(12/8時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中9位(暫定)にランクイン。

 冬ボー出たぞー!!!

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:孤狼の血 ★★★★☆

  2位:アベンジャーズ インフィニティ・ウォー ★★★★☆

  3位:デッドプール2 ★★★★

  4位:万引き家族 ★★★★

  5位:カメラを止めるな! ★★★★

  6位:バッド・ジーニアス 危険な天才たち ★★★★

  7位:Search サーチ ★★★★

  8位:ボヘミアン・ラプソディ ★★★★

  9位:来る ★★★☆

 10位:シェイプ・オブ・ウォーター ★★★☆

  次点:アントマン&ワスプ ★★★☆

     空飛ぶタイヤ ★★★☆

     インクレディブル・ファミリー ★★★☆

     

     

  (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:パンク侍、斬られて候 ★

  2位:ザ・プレデター ★☆

  3位:ザ・リング リバース ★☆

 

 

<その他ランク外一覧>

キングスマン ゴールデン・サークルジオストーム咲 Saki 阿知賀編 episode of side-A祈りの幕が下りる時デトロイト羊の木マンハントスリー・ビルボードサニー/32今夜、ロマンス劇場でグレイテスト・ショーマン悪女 AKUJOブラックパンサー15時17分、パリ行き去年の冬、きみと別れちはやふる-結び-マザー!リメンバー・ミートレイン・ミッションレッド・スパローダンガル きっと、つよくなるパシフィック・リム アップライジングレディ・プレイヤー1いぬやしきラプラスの魔女ランペイジ 巨獣大乱闘フラットライナーズ恋は雨上がりのように戦狼/ウルフ・オブ・ウォー勝手にふるえてろDESTINY 鎌倉ものがたり探偵はBARにいる37 WISH セブン・ウィッシュネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!ダークタワーハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー不能犯ジュラシック・ワールド 炎の王国人狼ゲーム インフェルノ未来のミライガーディアンズジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングルミッション:インポッシブル フォールアウト検察側の罪人銀魂2 掟は破るためにこそあるマジンガーZ INFINITYSUNNY 強い気持ち・強い愛犯罪都市MEG ザ・モンスター累 かさね殺人者の記憶法トゥームレイダー ファースト・ミッション時間回廊の殺人響-HIBIKI-イコライザー2インシディアス 最後の鍵クワイエット・プレイスナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-アンダー・ザ・シルバーレイクデス・ウィッシュメイズ・ランナー 最期の迷宮blank13スマホを落としただけなのにヴェノムGODZILLA 決戦機動増殖都市ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書レオンワンダー 君は太陽人魚の眠る家ポリス・ストーリー REBORN50回目のファーストキスヴァレリアン 千の惑星の救世主ヘレディタリー 継承娼年


 

『来る』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

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