「クロール－凶暴領域－」 ★★★～よくできた午後ロー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

よくできた午後ロー★★★

（2019年／アメリカ／88分／Crawl）【　製作　】サム・ライミ 【　製作・監督　】アレクサンドル・アジャ

【　出演　】カヤ・スコデラリオバリー・ペッパーモーフィド・クラークロス・アンダーソホセ・パルマ

【あらすじ】

　大学の競泳選手として伸び悩んでいるヘイリー。

　ハリケーン特別警報が発令されたその日、フロリダ州に住む疎遠の父と連絡が取れないため、父を探しに実家へ向かう。父は、家の地下で重傷を負い気絶していた。

　ヘイリーは父を助け出そうと地上に向かおうとするが、地下には凶暴な２匹のワニが二人を狙っていた。

　ハリケーンで徐々に家が水没していくなか、ヘイリーと父はワニと戦いながら脱出を試みる―

【コメント】

　さて、台風一過の日曜日、これはぜひとも劇場で観ておきたい！と楽しみにしていた本作。

　内容的にはハリケーン＋ワニワニパニックという、いかにもテレ東「午後のロードショー」（通称午後ロー）で放映されそうな超絶B級作品とお見受けしたが、製作にあのサム・ライミ、監督にアレクサンドル・アジャというタッグとなれば話は違う。こりゃあ単なるパニックモノとは絶対に違うぜ！と、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　小規模な劇場ながら、なかなかに人が入っていましたな。

　うむ、思ったとおり面白かった！量産されまくっている超絶B級なワニものディザスターものとは一味も二味も違う、それでいて荒唐無稽なB級感も失わない。非常によくできた午後ロー作品といったところでしょうか。小粒感は否めないものの、モンスタースリラーものとしてはよく作り込んだ一級品だと思います。

　他の量産型パニックモノと明らかに違うのは、オープニングのシーンからすでに分かる。主人公の苦悩やら父親との関係やらといったドラマチックな部分を盛り込むことで、単なるパニック作品とは一線を画していて、その配分が絶妙。この絶妙な盛り込み方が、クライマックスとラストシーンを大いに盛り上げてくれる。

　本編の大部分が家の中かつ地下で展開するわけですが、ディザスターの恐怖と凶暴なワニの恐怖という2つのパニックを巧みにミックスさせている作りのうまさといい、何も説明せずとも察することができる数々の伏線のうまさ。ワニ園とか、下水のワニの卵とか。改めて、サム・ライミ＋アレクサンドル・アジャのタッグはスゲーなと感心しましたね。

　もっとも、この2人が絡むのならば、もっと突き抜けた作品ができたんじゃないか、とは感じましたけどね。過去のアジャ監督『ピラニア3D』のように、阿鼻叫喚の弾けまくったワニワニパニックを期待してたんですが、割とオーソドックスな展開で終わっちゃったので、若干の物足りなさを感じたのは否めないところです。

　そんなわけで、王道な展開ながらも綿密に作り込んだ、そこらへんの量産型とはわけが違う一級のパニックスリラー作品でした。これを機会に、サム・ライミ＋アレクサンドル・アジャのタッグでもっと作品を作ってほしいなと感じている今日この頃。この2人なら、もっともっと面白い作品を作ることができると期待しております！

【2019年度 Myランキング】（10/13時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　台風被害凄いな！

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ジョーカー ★★★★★

　　２位：アベンジャーズエンドゲーム　★★★★☆

　　３位：ゴジラキング・オブ・モンスターズ　★★★★☆

　　４位：運び屋　★★★★

　　５位：ホテル・ムンバイ ★★★★

　　６位：翔んで埼玉　★★★★

　　７位：ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ★★★★

　　８位：クリード炎の宿敵　★★★★