「ウトヤ島、7月22日」 ★★★☆～リアルなテロの恐怖が伝わる映画

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

リアルなテロの恐怖が伝わる映画★★★☆

（2018年／ノルウェー／97分／Utoya 22. juli） 【　脚本・編集・監督　】エリック・ポッペ【　出演　】アンドレア・バーンツェンエリ・リアノン・ミュラー・オズボーンジェニ・スヴェネヴィク

【あらすじ】

　2011年7月22日、ノルウェー。

　首都オスロでテロによる政府校舎の爆破事件が発生。同じ頃、北西40キロに位置するウトヤ島では、労働党青年部によるサマーキャンプが開催されていたが、突如として銃乱射事件が発生、ウトヤ島はパニックに陥る。

　キャンプに参加していたカヤは仲間たちと必死に逃げ惑うが、一緒に来た妹が行方不明となってしまい、ひとり探しに向かう―

【コメント】

　さて、今回も週末のお楽しみ、行きつけのTSUTAYAで映画を物色していたところ目に留まったのが本作。

　劇場公開時こりゃ面白そうだなと思っていたものの、結局劇場での鑑賞はスルーした本作。この度めでたくレンタル開始、新作の段に陳列されていた本作をさっそく手に取った次第です。

　うわ～これは面白かった！劇場で観たほうが良かったとチョイと後悔してます。姿なき殺戮者の恐怖、リアルなテロの恐怖がビンビンと伝わってくる映画でしたね。

　実話に基づいて作られた本作、本作のウリのとおり、オープニングからエンディングまでほぼ切れ目なしのワンカット撮影というのも驚きですが、先に書いたとおり何よりもテロリストたちの姿が全く見えず、鳴り響く銃声と逃げ惑う人間たちだけが映し出され、それが観ているものにリアルな臨場感を与えていてとても怖い。ほんと、銃声と悲鳴だけが聞こえるのって尋常じゃないくらい恐怖ですよ。

　もっとも、後半になると死にかけの子に寄り添って会話するシーンや、崖の下で会話するシーンなんかは、ちょっと映画の時間稼ぎ感があってグダってしまいましたが、全体的に見てもあの臨場感は半端じゃないくらい怖い。ラストの残酷な終わり方も、テロというリアルな演出がなされていて悪くない。

　とにかく、脚色はされているとはいえ、ヘンなドラマチック展開を入れず、あくまで姿なきテロリストというスリリングな恐怖を描いた本作は、テロを題材とした作品の中でも佳作の部類に入ると思います。

　日本はテロというものが皆無のため、なかなかこういった作品を身近に感じることは難しいかもしれませんが、本作はそんなテロの疑似体験をするにはうってつけの作品だと僕は思います。殺戮者がどこに潜んでいるのか分からない、どこから銃声がなっているのか、死体だけが転がっている恐怖。そんな体験は一生したくないですが、一方で身近に感じている国があるのもまた事実。日本がテロに狙われることなく平和に過ごせることを切に願う今日この頃です。

【2019年度 Myランキング】（10/26時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　歳を取るって切ないな。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ジョーカー ★★★★★

　　２位：アベンジャーズエンドゲーム　★★★★☆

　　３位：ゴジラキング・オブ・モンスターズ　★★★★☆

　　４位：運び屋　★★★★

　　５位：ホテル・ムンバイ ★★★★

　　６位：翔んで埼玉　★★★★

　　７位：ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ★★★★

　　８位：クリード炎の宿敵　★★★★