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「ターミネーター ニュー・フェイト」 ★★★★☆~こんな傑作が失敗に終わりそうな理由を考える

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※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

『シネマ報告書2019』の掲載にあたって

 
こんな傑作が失敗に終わりそうな理由を考える
★★★★☆

(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

 

(2019年/アメリカ/129分/Terminator: Dark Fate)
 
【製作・原案】
ジェームズ・キャメロン
 
【 監督 】
ティム・ミラー
 
【 出演 】
リンダ・ハミルトン
アーノルド・シュワルツェネッガー
マッケンジー・デイビス
ナタリア・レイエス
ガブリエル・ルナ
エドワード・ファーロング
 

 

【あらすじ】

 

 メキシコシティで父と弟とごく普通の生活を送っていた21歳の女性ダニー。彼女のもとに、突如として未来から最新型ターミネーター“REV-9”が現れ、彼女の命を狙う。そこに、ダニーを守るため同じく未来からやってきた女性戦士グレースが立ちふさがり壮絶な戦いを繰り広げる。

 絶体絶命の危機に瀕したダニーとグレースの前に、かつて人類を滅亡の未来から救ったサラ・コナーが現れ、彼女らと行動を共にすることになる―

 

 

【コメント】

 

 歯がゆい・・・実に歯がゆい。

 僕が長きに渡り待ち続けた、ジェームズ・キャメロン復帰による「ターミネーター」シリーズ待望の新作。しかもT3・T4・ジェニシスといったバッタもんターミネーターを亡きものにしT2に直結する物語、さらにはそのバッタもんをことごとく蹴ってきたサラ・コナー役のリンダ・ハミルトンが復帰するということで、今年の作品の中では最も期待していた映画です。願わくば、キャメロン御大自身が監督してほしかったけどね。

 そんな最強の布陣で挑んだこの大目玉作品、いざ蓋を開けてみれば全米では初登場1位を獲得したものの、肝心の興収はジェニシスとどっこいの入り。世界的に見ても動員が芳しくなく、巨額を賭けた製作費が回収できそうにないという大爆死確定の最悪の事態に。

 ネット上では賛否が吹き荒れ、日本でも公開前からネガティブな意見が圧倒的に多い。しかしながら、アメリカの映画批評サイト“Rotten Tomatoes”での批評家の評価は悪くなく、観客の支持率も高い。こんな高評価が、なぜ興収に反映されないのか、待ち望んでいた僕としては鑑賞前から歯がゆさがぬぐい切れませんでした。

 とにもかくにも、どんな仕上がりになっているのか自分の目で確かめようと、さっそく公開初日、仕事終わりに「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 同じ職場の映画マニアの後輩も観に来ていましたな。結局お前も気になっていたのな。

 

(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

 

 初日公開後もネット上では相変わらず賛否の嵐が吹き荒れているようですが、ここはハッキリ言わせてもらいます。T1T2に続く「正当な続編」として遜色ない完成度、そしてT3T4ジェニシスという汚点をカバーしてもなお余りある面白さを持った傑作続編であると断言します!とにかく本作は、T3T4ジェニシスには無かったテーマ性と、何より本作に込められた気合が観る者に伝わってくる大変な力作です。このクオリティを持ってして、なぜ納得できないファンがいるのか、甚だ理解に苦しみますね。

 僕も正直、公開前まで本作に不安が無かったわけではないです。最初に公開されたスチール写真や予告編を見て、キャメロン御大とリンダ・ハミルトンが復帰することに歓喜したものの、新キャラであるグレースとダニー、そして今回の敵であるREV-9のあまりのキャラの薄さに「これは大丈夫なのか?」という不安はとても感じていたわけです。

 

 ところが、ふたを開けてみればどうだ。オープニングの衝撃の展開、そしてしょっぱなからテンションが高いアクションの連続、鳥肌モンのサラ・コナーの登場、執拗に追いかけてくる“T-800”+“T-1000”の分離型ターミネーターREV-9の恐ろしさ、お待たせT-800シュワちゃんの登場から怒涛のクライマックス、ラストに待っている涙涙の決着、そして未来に希望を持たせる爽快なエンディングまで、とにかく一瞬たりとも目が離せない展開の連続。またシュワちゃん老けてるじゃねーかとか、T1T2のスカイネット意味ねーじゃーんとか、こんなんいくらでも続けられるじゃねーかとか、ツッコミどころはないわけではないが、孫夏コミは作り手も承知の上で作っている。上出来どころかSFアクションとして完璧ともいえるクオリティの高さです。

 とにかくですね、サラ・コナーの登場は言わずもがな、強化型人間グレースが本当に本当にカッコイイ!キャラ薄どころかサラ・コナーを喰いかねないほどの存在感を放っている。主人公を全部女性にしたのは昨今の社会の流れなのか、シュワちゃんは完全に脇に回り女性をサポートする側に回っている。もっとも、T-800の設定は多少強引な気もしたが。「おいマジかよ!www」と誰もがツッコんだであろうジョン・コナー役のエドワード・ファーロングの扱いの雑さも、世界的な世の流れを反映させたものなんだろう。

 

 無論、T2の伝説的な完成度の高さには及ばないのは事実だが、だからといって本作が駄作なわけでは決してない。結局はT2をまんま踏襲したターミネーターの追いかけっこであることもまたしかり。内容は同じとも、時代に合わせたアップグレードと捉えれば何の遜色もない、これほど手に汗握るアクションは他にない。事実、内容を一掃した新発想のT4ジェニシスの失敗が、それを証明している。ディテールを変えたからと言って、それが面白くなるわけではない。本作の根本にあるテーマ、伝えたいこと、それこそが映画の奥深さを支える骨子であり核心なのだ。

 

 「機会が人間の気持ちを理解できるのならば、人間がそれをできないわけがない。」これは、T2のラストでサラ・コナーが言ったセリフ。言わずもがな、本作のテーマとなるのが人類の機械への依存に対する警鐘、そして時代が変わってもそれを忘れてはいけないという次世代への継承。人間が機械に振り回され、本来の人間同士のコミュニケーションが希薄になってやしないか?そのテーマを本作でも踏襲しているが、スカイネットによる審判の日は回避されたものの、結局は“リージョン”という新たなAIの登場により、再び機械戦争に直面する。苦心惨憺して未来を変えたサラ・コナーたちの活躍も虚しく、人類は反省せずどんどん機械に依存していく。本作のテーマを踏まえると、「変わらないわね人間は」と吐き捨てるように言ったサラ・コナーのセリフがとても印象深く聞こえてくるわけだ。

 

(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

 

 こんなT1T2に引けを取らない完成度を誇る本作が、んぜ興収が芳しくなく、なぜこうも叩かれてしまうのか。僕が思うに、本作に至るまでの道程があまりにも長く、その間にT1とT2、とりわけT2があまりにも神格化されてしまったこと、そして、その間にターミネーターというコンテンツを次世代に継承できなかったことにあると思います。

 T2が映画史に革命をもたらした世紀の大傑作であることは疑いようがないし、何をもってしてもT2と比較をされてしまうのは致し方ない。T2で完結したと言い切ったキャメロンは版権を手放してしまい、それでもターミネーターというコンテンツでもう一儲け二儲けしたいと映画会社の目がくらんで作られたT3T4ジェニシスのダメっぷりが神格化をさらに加速させてしまった。

 T2から本作が完成するまでの期間が実に28年、T1に至っては35年になるわけで、リアルで体感した観客はもういい歳。そう、「T2の正当な続編」という謳い文句に反応するのはほとんどいい歳こいたオッサンなのだ。事実、僕が観た劇場の客層がそれを物語っていた。劇場は金曜夜でありながら8割9割埋まっていたけど、そのほとんどが会社帰りの白髪交じりのサラリーマンだった。T2から28年の間、10代20代の若者層はT3T4ジェニシスを観て育った。そのたびに思ったに違いない。「ターミネーター?何それ?」「ターミネーターのどこが面白いのか?」と。T1T2が革命的な作品であり、後世の映画に多大なる影響を与えたことは言わずもがなではあるが、若者層はそれをお手本とした作品や亜流作品を観て育ったのだ。つまり、若者にとってターミネーターなんて幾多の映画の中に埋もれた古い作品でしかないのだ。

 本作のテーマが次世代への継承であったものの、肝心のコンテンツが次世代に継承できなかったのは皮肉でしかないですね。

 

(C)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film

 

 とまあ、ありったけの想いをぶつけ長くなってしまいましたが、とにかくですね、これでダメならもう何をどう作ってもダメ、ターミネーターというコンテンツ自体がもう終了、完全にオワコンであることが証明されるわけです。キャメロン御大が本作を皮切りに掲げていた新3部作で新たに伝えようとしているテーマも泡となって消えていく。本作をとても気に入った僕としては、それが一番悔やまれるところです。

 まあでも、もしかしたら新3部作というのも御大得意のリップサービスだったのかもしれません。名プロデューサーであり世界のヒットメーカーであるジェームズ・キャメロンが、もうターミネーターは終わったコンテンツであることに気づかないわけがない。それを承知の上での製作だったのかと。そうでなければ、他の監督に作らせることはしないでしょう。

 キャメロン御大65歳、リンダ・ハミルトン63歳、シュワちゃんにいたっては72歳という高齢なわけで、もうターミネーターを続けていくには厳しい段階。しかしながら、彼らなしでターミネーターなど考えられない。そういった意味では、本作はコンテンツへの最後のけじめであり、興収が著しくないとはいえ有終の美を飾った作品であったと僕は思います。

 

 

【2019年度 Myランキング】(11/8時点)

 

 本作は、本年度のベスト10中2位(暫定)にランクイン。

 面白映画立て続け!

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:ジョーカー ★★★★★

  2位:ターミネーター ニュー・フェイト ★★★★☆

  3位:アベンジャーズ エンドゲーム ★★★★☆

  4位:ゴジラ キング・オブ・モンスターズ ★★★★☆

  5位:IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 ★★★★☆

  6位:運び屋 ★★★★

  7位:ホテル・ムンバイ ★★★★

  8位:翔んで埼玉 ★★★★

  9位:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド ★★★★

 10位:クリード 炎の宿敵 ★★★★

  次点:ジョン・ウィック:パラベラム ★★★★

      スペシャルアクターズ ★★★★

      特捜部Q カルテ番号64 ★★★☆

      

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:麻雀放浪記2020 ★☆

  2位:天気の子 ★★

  3位:貞子 ★★

 

<その他ランク外一覧>

蜘蛛の巣を払う女マスカレード・ホテルミスター・ガラスサスペリア十二人の死にたい子どもたち七つの会議がっこうぐらし!劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズアクアマンファースト・マンアリータ バトル・エンジェルグリーンブックTHE GUILTY ギルティスパイダーマン:スパイダーバースキャプテン・マーベルイップ・マン外伝 マスターZバンブルビーANON アノンダーク・スクールエリザベス∞エクスペリメントハンターキラー 潜航せよシャザム!キングダム映画 賭ケグルイザ・フォーリナー 復讐者ゴールデンスランバーモースト・ビューティフル・アイランド空母いぶきパラレルワールド・ラブストーリーカイジ 動物世界スノー・ロワイヤルROMA ローマニセコイメン・イン・ブラック インターナショナルアンフレンデッド ダークウェブパージ:エクスペリメントザ・ファブルスパイダーマン ファー・フロム・ホーム凪待ちDiner ダイナーアンノウン・ボディーズトイストーリー4アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 南北英雄チャイルド・プレイサムライマラソン東京喰種 トーキョーグール【S】ドラゴンボール超 ブロリーワイルド・スピード スーパーコンボ血まみれスケバンチェーンソーREDZ Bull ゼット・ブルダンスウィズミー引っ越し大名!ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 英雄復活SHADOW 影武者ダンボ大脱出2記憶にございません!アス見えない目撃者バーニング 劇場版アド・アストラオーヴァーロード惡の華マローボーン家の掟クロール -凶暴領域-最高の人生の見つけ方アラジンウトヤ島、7月22日ジェミニマン名探偵ピカチュウ

 


 
 
『ターミネーター ニュー・フェイト』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

 
 
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