「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」　★★★☆～CH愛に満ちた実写化

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

CH愛に満ちた実写化★★★☆

（2019年／フランス／93分／Nicky Larson et le parfum de Cupidon） 【　脚本・監督　】フィリップ・ラショー

【　原作　】

北条司

CITY HUNTER 文庫版コミック全18巻完結セット (集英社文庫―コミック版)

15,136円

Amazon

【　出演　】フィリップ・ラショーエロディー・フォンタンタレック・ブダリジュリアン・アルッティディディエ・ブルドンカメル・ゴンフーラファエル・ペルソナスソフィー・モーゼルパメラ・アンダーソン

【あらすじ】

　ボディガード、探偵、なんでも請け負う街のスイーパー“シティーハンター”こと冴羽リョウと相棒の槇村香。

　ある日、駅の掲示板にXYZ宛の新しい仕事の依頼が舞い込む。依頼人ドミニク・ルテリエは父が開発した、香りを嗅いだ者を虜にする“キューピッドの香水”を悪の手から守ってほしいというものだった。

　しかし、その直後一瞬にして謎の集団に香水が奪われてしまう。リョウと香は、香水を奪還すべく元傭兵の海坊主や美人刑事の冴子を巻き込んで奮闘する―

【コメント】

　オッサンである僕の青春の１ページを飾る漫画のひとつ「シティーハンター」。

　今年初めに公開されたアニメ映画『劇場版シティーハンター新宿プライベート・アイズ』は、往年のセンスと声優陣が集った懐古主義万歳！な懐かしさ満載の作品でしたが、ここへきて、なんとフランス発の実写版「シティーハンター」が公開されるとの情報を前々から得ており、それが本作となるわけです。

　実写版と言えば、なんといってもわがヒーロー、ジャッキー・チェンが冴羽遼に扮した香港版『シティーハンター』が有名ですが、原作とは似て非なるジャッキー節炸裂のアクションコメディで、やたらワンタンメンを食いたがる冴羽遼に違和感ありありでした。

　こういった経緯もあって、フランス版はいったいどういった仕上がりになっているのかと非常に興味もあって、「キノシネマ立川」に足を運んだ次第です。あ、鑑賞はもちろん吹替で。

　サイコー！もうサイコーです！！！こんなにもシティーハンター愛に溢れた実写版があっただろうか。原作への愛情とリスペクトがこもった、まさに史上最香の実写化と言っても過言じゃないでしょう。漫画の実写化にこれほど感激したことはありません。

　まず、映画が始まって数秒足らずでひと笑い、日本でやったら間違いなくサムいぞとツッコまれそうなギャグも本作では笑える不思議。下ネタも満載のギャグの連発でありながら、決めるところはビシッと決めてくれる冴羽遼のかっこよさと、相棒である香とのほのかな恋愛模様、原作からまんま飛び出してきたかような海坊主と槇村兄のクオリティの高さ、100tハンマーや遼と香の追いかけっこで終わるエンディングといい、どこまでシティーハンター大好きなんだと言わんばかりのシーンの連続で、国は違えど、ここまで原作を再現した実写はほかにない。しかも追いかけっこエンディングからのTMネットワーク「Get Wild」が流れたときは鳥肌もの。これは吹き替え版だけかな？これには往年の原作ファンが感激しないわけがない。ファンも納得の逸品だと思います。他にも、「らんま1/2」やら「聖闘士星矢」やらの小ネタがちりばめられていて楽しい。

　ぶっちゃけ、香がもうちょっと可愛かったらよかったな～という気もしましたが、それでも登場人物に全然違和感なく入り込めるし、大いに笑わせて楽しめるアクションコメディであることは間違いありません。日本でもアニメ実写化が盛んではあるものの、これほどまでの愛情とリスペクトを込めた作品は本当に少ない。本作を観て、もう少し見習ってほしいもんです。