「キャッツ」　★～2000年代を代表する世紀の“大珍作”

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

2000年代を代表する世紀の“大珍作”★

（2019年／イギリス・アメリカ／110分／Cats） 【　脚本・監督　】トム・フーパー【　出演　】

ジェームズ・コーデン

ジュディ・デンチ

ジェイソン・デルーロ

イドリス・エルバ

ジェニファー・ハドソン

イアン・マッケラン

テイラー・スウィフト

レベル・ウィルソン

【あらすじ】

　ロンドンの路地裏に捨てられた猫ヴィクトリア。そこにはノラ猫の集団“ジェリクルキャッツ”が住んでいた。

　彼らに迎え入れられたヴィクトリア。今夜はダンスを競い合う舞踏会“ジェリクルボール”が開催される日で、選ばれた1匹の猫が、天上に昇って新たな生を得る権利を手にするという会だった。

　互いのパフォーマンスを披露する中、お尋ね者マキャヴィティは、有力候補の猫を次々とさらっていき、自分が選ばれし猫になろうともくろむ―

【コメント】

　新型コロナの影響で恒例の実家帰省の自粛を余儀なくされた8月お盆週。コロナに続いて地獄の猛暑が続く中、これはもう涼しい部屋で映画鑑賞するに限ると、行きつけのTSUTAYAでレンタルしてきたのが本作。

　「キャッツ」と聞けば誰もが一度は耳にしたことがあるであろうミュージカル舞台の名作中の名作、それをミュージカル映画を撮らせたら右に出る者はいないトム・フーパ―監督が満を持しての映画化ということですが、海外の批評はラズベリー賞に輝く散々ぶり。そんな前評判があったもんだから劇場での鑑賞はスルーしたんですが、逆にどれだけのものか観てみようという気になり、手に取ってみた次第です。

　いや～、大変ツマンネ。僕はミュージカル映画割と好きなんですが、久しぶりにこんなに退屈した映画観ましたね。猫の全身タイツを着た妙ちくりんな大人たちが110分延々と歌って踊っているだけの映画。そのあまりにもシュールな恰好と、全然入ってこないストーリーに加えて、肝心の歌やダンスも特筆すべきものがない。本作は2000年代を代表する世紀の“大珍作”と言っても過言ではないでしょう。やっちまったなトム・フーパー。

　先にも言ったとおり、大の大人が猫をかたどったピッタリ全身タイツを身に纏い、ご丁寧に猫のメイクまで完璧にして踊っている映像はシュール以外のなにものでもない。不気味に感じる人も中に入るでしょう。そんなシュールさが際立つ映像が影響しているのか、ストーリーがまったく頭に入ってこないし、ゴージャスな歌や踊りもまったく響いてこない。シュールな映像もさることながら、それをカバーする魅力が本作には無いのが最大の欠点かと思います。

　トム・フーパーをはじめとした一流のスタッフ、ジュディ・デンチやテイラー・スウィフトまでも引きずり出した一流のキャスト、そして一流の歌唱力とダンス力。いかにもお金かかってます的な作りをもってしてもこんなものが完成してしまうのか、というのがよく分かる作品です。世の中には箸にも棒にもかからないクソつまらない映画は星の数ほどありますが、真の駄作・迷作・珍作といった称号は、こういった作品にこそ与えられるべきものだと思います。まあ逆に言ってしまうと、時が経てばカルト作品としてマニアに再評価される可能性も秘めている作品でもあります。

　擬人化というのは、昨今のアニメでもよく目にする表現方法のひとつですが、それを実写でやるとこんなにもシュールな映像になってしまうということがよく分かる映画でもありましたね。シュール、滑稽、苦笑、不気味。トム・フーパー監督をもってしても擬人化はハードルが高かったようです。そういうのはアニメだけにしておいたほうが良いようです。

【2020年度 Myランキング】（8/15時点）

　本作は、本年度のワースト3中1位（暫定）にランクイン。

　雷怖い。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：1917 命をかけた伝令 ★★★★★

　　２位：ミッドサマー ★★★★

　　３位：透明人間 ★★★★

　　４位：Fukushima 50 ★★★★

　　５位：パラサイト半地下の家族 ★★★☆

　　６位：イップ・マン完結 ★★★☆

　　７位：AI崩壊 ★★★☆

　　８位：ジョジョ・ラビット ★★★☆