「事故物件恐い間取り」　★★★～全然怖くないけど悪くはない

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

全然怖くないけど悪くはない★★★

（2020年／日本／111分） 【　監督　】中田秀夫【　原作　】松原タニシ【　出演　】

亀梨和也
奈緒
瀬戸康史
江口のりこ
MEGUMI
真魚
瀧川英次
木下ほうか

【あらすじ】

　売れない芸人の山野ヤマメは相方とのコンビとも解散し、今後の道に悩んでいた。

　そんな時、ＴＶプロデューサーから、とある殺人事件が起きたマンション、いわゆる“事故物件”に引っ越し何かを撮ってこいと言われる。

　いやいや引っ越したヤマメだったが、そこで映った“何か”の映像がテレビで反響を起こし、様々な事故物件へと住んでは怪奇現象に遭遇するヤマメはブレイクする。

　だが、そんな彼に謎の黒い何かが憑りつき、恐ろしい事になってしまう―

【コメント】

　さて、最近目ぼしい新作映画が公開されないなか、ちょいと興味をそそられたのが夏の風物詩であるホラー作品である本作。芸人・松原タニシの原作を基に、ご存じＪホラーの重鎮・中田秀夫監督による最新作です。

　とはいえ中田製Ｊホラーの勢いも今は昔、完成度がビミョーな作品が多く、本作も同じようなワケワカメなホラーなんだろうなと感じつつも、まあ話題になっているし観てみるのも一興かと「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　思ったとおりさすがの話題作、夜の回でも満員御礼の盛況ぶりでしたね。

　うむ、なるほど。ぶっちゃけ、Ｊホラーものとしては全くもって怖くはなかったけど、これまでの中田製ホラーの中では悪くない出来だったんじゃないでしょうか。

　本作は、芸人・山野ヤマメが転々と事故物件に住み着いては怪奇現象を体験するという、オムニバス的な展開になっていて、彼の芸人として売れていく姿と、彼を見守るメイクさんとのほのかな恋愛模様も織り交ぜて、中田秀夫監督としては取っ散らかず一本筋の通った作品だったと思います。もっとも、エピソードによっては雑に終わってしまう部分もあったし、ラストのラスボス的な正体不明な存在と妙なバトルを繰り広げるシーンには苦笑してしまいましたが。

　とはいえ、家に住み着く悪霊の恐怖といったホラーものは数あれど、アパート・マンションの事故物件を転々としながらあえて怪奇現象を体験しに行くといった展開は、実に日本的というか視点としてこれまでにはなかったホラーものだと思いますね。

　個人的には、不動産役の江口のりこの関西キャラが出色の出来だったと思います。ラストああなってしまうのは実にもったいないとは感じましたけど。「半沢直樹」でも存在感をいかんなく発揮しているし、ここから一気にブレイクすること間違いなしの実力派女優ですね。