「映像研には手を出すな！」　★★★☆～若手俳優やアイドルの扱いがうまい英勉監督

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

若手俳優やアイドルの扱いがうまい英勉監督★★★☆

（2020年／日本／113分） 【　脚本・監督　】英勉【　原作　】大童澄瞳【　出演　】

齋藤飛鳥
梅澤美波
山下美月
小西桜子
グレイス・エマ
福本莉子
松﨑亮
桜田ひより
板垣瑞生
赤楚衛二
鈴之助
出合正幸
松本若菜
山中聡
浜辺美波
髙嶋政宏

【あらすじ】

　マンモス校である芝浜高校の一年生・浅草みどりは、アニメーターを夢見るコミュ障な女子。彼女は、金儲けが好きな唯一の親友・金森さやかと、カリスマ読者モデルで同じくアニメーターを目指す水崎ツバメとともに“映像研究同好会”を作って活動していた。

　浅草たちは、来る文化祭でのアニメーション発表会に向け、ロボット研究会と提携しロボットアニメ制作に全力を注ぐ。しかし生徒会は、細分化を続ける部の統廃合に向け強権を奮い、映像研究同好会を潰そうと画策する―

【コメント】

　さて、今回劇場で鑑賞したのは、漫画原作であり乃木坂46の齋藤飛鳥・山下美月・梅沢美波が主演する本作。

　僕としてめずらしく原作の存在を知っていて、NHKで放映されたアニメのほうを観ていたので、どんな話なのかは知識として入っていました。なにぶんアニメのクオリティがとても高かったので（そりゃ湯浅政明監督だから当然か）、ここへ来てアイドル映画に成り下がってしまうのかという懸念があったものの、そこは最近ノッている英勉監督ということで期待して「MOVIX昭島」に足を運んだ次第です。

　ちなみに、本作の前段であるTVドラマを未鑑賞だったのですが、アニメを観ていたので何とかなるだろうと判断し鑑賞しました。

　いや～面白かった。TVドラマ版未鑑賞、乃木坂アイドル主演という不安材料があったものの、単なる安っぽいアイドル映画とは一線を画す、良質な青春アイドル映画だったと思います。まあ、そもそも原作が面白いですからね、よっぽど筋をいじらなければ面白さは保証されたようなもんでしょう。TVドラマ未鑑賞の懸念も杞憂で、初っ端にちょっとしたダイジェストを流しつつ、1本の作品として十分に楽しめましたね。

　乃木坂の主演3人の演技はどうだったかといえば推して察するべしといったところでしょうが、それでもかなり熱演していたというか、英勉監督にだいぶ鍛えられたんじゃないかなと感じます。

　この英勉監督、とにかく売り出しの若手俳優やアイドルの扱いが非常にうまいな～と常々感じますね。今年鑑賞した『ぐらんぶる』しかり、昨年のお気に入り「賭ケグルイ」シリーズしかり、駆け出しの若手やアイドルをごそっと招集し良質な作品を作り続ける姿勢は、まさに若手の登竜門的な存在なんじゃないかなと思います。本作の乃木坂3名も本作で非常に輝いていたと思いますし、個人的には金森役の梅沢美波は特にハマっていたんじゃあないかと。原作と同様にノッポでクールな雰囲気が生かされていたかと思います。もっとクールでも良かったとは思いますが。

　本作の根底にあるのは、なにも若者が様々な壁にぶつかって成長するといったありきたりな青春モノじゃなく、ひとつの作品を世に出すことの大変さ、クリエイターとプロデューサーの役割分担の重要さ大変さを伝えてるんじゃないかなと思います。どちらが欠けても作品を世に広めることはできないわけで、創造・宣伝・演出・連携、様々な要素が絡み合い苦心惨憺して作品が生み出されていく。それくらいひとつの作品というのは重みがあるということなんでしょう。

　ちなみに、本作に登場した気象研究部の浜辺美波は必要だったか？と未だ疑問です。

【2020年度 Myランキング】（10/3時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　残業しばらく続きそう。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：1917 命をかけた伝令 ★★★★★

　　２位：ミッドサマー ★★★★

　　３位：透明人間 ★★★★

　　４位：TENET テネット ★★★★

　　５位：Fukushima 50 ★★★★

　　６位：パラサイト半地下の家族 ★★★☆

　　７位：イップ・マン完結 ★★★☆