「架空OL日記」　★★★～何にも起こらないという面白さ

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

何も起こらないという面白さ★★★

（2020年／日本／100分） 【　監督　】住田崇【　原作　】バカリズム【　出演　】

バカリズム
夏帆
臼田あさ美
佐藤玲
山田真歩
三浦透子
シム・ウンギョン
石橋菜津美
志田未来
坂井真紀

【あらすじ】

　銀行員OLの“私”と同期のマキ、後輩のサエ、姉御肌の小峰、10年目の酒木。

　仲良しグループの5人の平穏で楽しい日常的なOL生活を描く―

【コメント】

　さて、そろそろ師走に差し掛かる11月最終週。いつもならボチボチ話題作の劇場公開が始まる時期ですが、この新型コロナの昨今、目ぼしい作品が無いという何とも哀しい週末。そんな中で、じゃあレンタルで今年の作品でも総ざらいしていくかと、いつもの行きつけのTSUTAYAで手に取ったのが本作。

　本作は、ご存じお笑い芸人バカリズム原作によるTVドラマの映画版で、前々から興味があったものの、肝心のTVドラマを観ていないということで、とりあえず先にTVドラマ版を鑑賞（3巻だけレンタル中だったため未見）し挑んだ作品です。

　TVドラマ版がことのほか面白かったので、TVドラマ版をコンプリートせず鑑賞してみた次第です。

　いやほんと、バカリズムの視点には脱帽です。もともと芸人としてのネタも面白いし、なんだったら意識高い系女子を小バカにしたようなネタもあるくらいなのに、こんなフツーのOLのあるあるな日常を何の違和感もなく誇張もなく描ける観察力は凄いの一言。

　本作はTVドラマ版の延長線上にある作品、とはいえ、続き物でも何でもない、TVドラマのテンションがそのまま映画になった感じで、とにかく何も起こらない。仲良し銀行OLがロッカールームでダベったり食堂で身にならない話を延々としたりアフター５でおいしい店で食事したりと、とにかく日常的な女子の会話や行動を延々と描いているだけで、何か事件が起こったりとか、何かが急転したりとかいう起承転結が全くない。何も起こらないのになぜか見入ってしまう面白さがある不思議な作品です。実際がどうかについては、僕は男子なので何とも言えませんが、あーこんな会話してそうだなーというね。

　そして何より、男子であるはずのバカリズムが、特に目立った女装するわけでもなく仲良しOLの輪に何の違和感もなく普通に馴染んでいるのがこれまたすごい。メイクもしないし裏声を使って会話するわけでもない。バカリズムがバカリズムのまま女子に紛れ込んでもまったく違和感がないという、バカリズムのキャラに驚きです。