「ジュディ虹の彼方に」　★★★～見どころはレネー・ゼルウィガー一択

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2020』の掲載にあたって」

見どころはレネー・ゼルウィガー一択★★★

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

（2019年／イギリス・アメリカ／118分／Judy） 【　監督　】ルパート・グールド【　出演　】

レネー・ゼルウィガー
ルーファス・シーウェル
マイケル・ガンボン
フィン・ウィットロック

ジェシー・バックリー

アンディ・ナイマン

【あらすじ】

　映画『オズの魔法使』でハリウッドのスターダムへと駆け上がったジュディ・ガーランド。しかし、小さい頃から体形の管理徹底を求められていため、次第に薬物依存や神経症に苦しめられていた。

　家賃の工面にも困る生活を送っていた1968年、ジュディはロンドンで5週間にも及ぶ連続ライブを敢行することになった。

　最初は乗り気ではなかったジュディだったが、彼女の圧巻のパフォーマンスが話題となっていくのだが―

【コメント】

　さて、2020年の総ざらいということで、年内に観ておこうと行きつけのTSUTAYAで手に取ったのが本作。往年のハリウッドスター、ジュディ・ガーランドの伝記作品ですな。

　きしくも新型コロナが騒がれ始めた時期に劇場公開された一作で、劇場鑑賞はスルーしたものの、主演のレネー・ゼルウィガーが本作で見事アカデミー賞主演女優賞を獲得し、評判も上々ということで、これは観ておかなきゃなと鑑賞してみた次第です。

(C)Pathe Productions Limited and British Broadcasting Corporation 2019

　うん、なるほど。これはあれですね、往年のスター、ジュディ・ガーランドの激動の半生云々というよりも、レネー・ゼルウィガーのジュディのなり切り具合が最大の見どころですね。彼女の代表作である「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズで見せた恋に恋するおっちょこちょい女子とは違う、レネー・ゼルウィガーという女優魂を垣間見せた作品だったともいます。

　本作は、47歳という若さで亡くなった恋多きジュディ・ガーランドの落ちぶれてしまった晩年を中心に描いたものですが、正直言って、ジュディ・ガーランドの人生を追ううえでの切り口としてこれが正しかったのかどうかは疑問です。女優として小さい時から管理されてきた人生、薬の飲み過ぎで精神に異常をきたしてきた人生、4度も結婚・離婚を繰り返してきた恋多き人生。まさにハリウッドスター、言い換えればハリウッドの犠牲ともいえる波乱万丈に満ちた人生を、晩年の小さなサクセスだけ描いてよいものなのか。ジュディ・ガーランドの人生として、もっと語るべき人生があったのではないか。なんかもったいないなーと、そんな気がしてなりません。

　それでもかろうじて観られたのは、やっぱりジュディになり切ったレネー・ゼルウィガーの熱演ただひとつ。主演女優賞を受賞しただけあって、そのなり切りぶり熱演ぶりは素晴らしいの一言です。ほんと、本作の見どころはレネー・ゼルウィガー一択につきますね。