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「プロミシング・ヤング・ウーマン」 ★★★~ジェンダーバイアスへの警鐘

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2021』の掲載にあたって

 
ジェンダーバイアスへの警鐘
★★★
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(C)Universal Pictures

 

(2020年/アメリカ/113分/Promising Young Woman)
 
【 製作・脚本・監督 】
エメラルド・フェネル
 
【 出演 】
キャリー・マリガン
ボー・バーナム
アリソン・ブリー

クランシー・ブラウン

ジェニファー・クーリッジ

ラバーン・コックス

コニー・ブリットン

 

 

【あらすじ】

 

 30歳を迎えようとするキャシーは、恋人や友達もおらず未だ実家暮らし、コーヒーショップで働く平凡な生活を送っていた。しかし、彼女には裏の顔があった。それは、夜な夜な酒場に繰り出しては泥酔するふりをし、近づいてくる男たちを制裁することだった。

 かつて医大生として前途有望だったキャシーは、なぜその道を捨て、男たちに制裁をしているのか。彼女には、忘れられない過去から男たちへの復讐心が燃えていた―

 

 

【コメント】

 

 さて、今回劇場で鑑賞したのは、いわゆる復讐モノというジャンルでありながら、第93回米アカデミー賞で数々の賞にノミネートされ、見事脚本賞を受賞した本作。

 復讐モノが大好きな僕としては、そんな賞を受賞するような作品とは一体どんなものなのか非常に気になっており、本作の公開をとても楽しみにしていました。鑑賞当日、TBSの情報番組「王様のブランチ」ではLiLiCoが本作を大絶賛していたことから俄然期待値は高まり、一路「立川キノシネマ」に足を運んだ次第です。

 いやさすが話題作、小規模な劇場でありながら席はほぼほぼ埋まっておりましたな。割高ではありましたが、プレミアムシートで優雅に鑑賞させていただきました。

 

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(C)Universal Pictures

 

 ・・・むむ、これは・・・思ってたのとちょっと違うぞ。復讐エンタテイメントとは宣伝されているものの、なんか違う。考えてみりゃ本作はあのアカデミー賞で数々の賞にノミネートされた代物、悪者をバッタバッタと裁いていく暴力的で凡百なアクションとは全然違う、一筋縄ではいかない作品であるのも納得。まあそりゃそーだわなーと鑑賞後感じました。僕は本作鑑賞後、これは一体どういうことだったのか、何を伝えたかったのか、一体どこらへんが賞レースを掻き立てたのか、一生懸命考えながら帰路につきました。

 

 先にも言ったとおり、そこら辺に転がっているリベンジ系アクションを期待したら全くの肩透かし。ラストは絶対にネタバレしないでください!とか、LiLiCoがラストがとても爽快!なんて言ってましたが、ハッキリ言うと、そんな復讐の爽快さやラストのどんでん返しの妙を味わうような代物ではありません。本作で主人公キャシーが実行する復讐とは、リアルで個人ができる最大限の復讐でしかなく、ド派手な銃撃戦や子の恨みはらさでおくべきかと血しぶきが画面いっぱいに飛び散るようなグロい演出も無い。全くもってスッキリするような復讐モノではないんです。

 

 じゃあ、結局本作は何だったのか?と言うと、いわゆるジェンダーバイアス、男性の女性に対する無意識の偏見というのが根底にあるのだと思います。要するにアリッサ・ミラノから端を発した、ハリウッドでのMeToo運動の流れを組んだ作品と考えるのが、僕の中ではいちばんしっくりきましたね。女性差別、黒人差別、アジア人差別、昨今の賞レースで受賞する作品は、軒並み“差別”というものを題材としたものが多いので、本作がアカデミー賞で話題になったのは、ああそういうことねと納得します。

 まあ、それが分かったところで、僕の本作に対する評価はとりわけ高いものではありません。脚本が優れているとも感じなかったし、ポップな映像と音楽は斬新で良かったとは思いますが、どうにも全体的に甘ったるくて好きにはなれませんでしたね。

 

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(C)Universal Pictures

 

 人を呪わば穴二つ。別の見方をすれば、そんな言葉がピッタリハマる作品でもあると思います。ニーナの母親は言った「前に進んで」という言葉がズシっと響いてくるし、結果的にそれをせず復讐という道を歩んだキャシーの末路という点で、啓蒙的な意味合いもあったんじゃないかなとも感じます。色んなテーマをちりばめてひとつの作品を作り上げた点を考えると、そういったところが優秀な脚本として称えられたのではないかと思います。

 とはいえ、キャリー・マリガンの30歳設定は正直キツかったと思いますが。

 

 

【2021年度 Myランキング】(7/17時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 ワクチンまだ接種できん。

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:ファーザー ★★★★★

  2位:すばらしき世界 ★★★★

  3位:ヤクザと家族 The Family ★★★★

  4位:Mr.ノーバディ ★★★★

  5位:ガンズ・アキンボ ★★★★

  6位:ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実 ★★★★

  7位:映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット ★★★★

  8位:哀愁しんでれら ★★★☆

  9位:映画大好きポンポさん ★★★☆

 10位:RUN ラン ★★★☆

  次点:ザ・ファブル 殺さない殺し屋 ★★★☆

      騙し絵の牙 ★★★☆

       新 感染半島 ファイナル・ステージ ★★★☆

      

      

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:樹海村 ★★

  2位:ゴジラvsコング ★★☆

  3位:さんかく窓の外側は夜 ★★☆

 

<その他ランク外一覧>

燃えよデブゴン TOKYO MISSION銀魂 THE FINALおとなの事情 スマホをのぞいたら名も無き世界のエンドロールファーストラヴチャイニーズ・ゴースト・ストーリー(未)アーカイヴ太陽は動かないコスモボールインビジブル・スパイブレイブ-群青戦記-フローズン・ストーム(未)魔女がいっぱいマシンガール DEAD OR ALIVEホムンクルス#フォロー・ミー星の王子ニューヨークへ行く2クローゼットザ・スイッチ恋する遊園地るろうに剣心 最終章 The Finalノンストップズーム/見えない参加者ノマドランドプロジェクトV食われる家族ウィッチサマー地獄の花園クレイジーズ 42日後明日への地図を探して(未)アオラレプラットフォームクワイエット・プレイス 破られた沈黙フロッグトゥモロー・ウォー東京リベンジャーズ藁にもすがる獣たちキャラクタープロミシング・ヤング・ウーマン


 
 
『プロミシング・ヤング・ウーマン』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

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