「マリグナント凶暴な悪夢」　★★★★～ジェームズ・ワンのB級映画愛が炸裂！

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

ジェームズ・ワンのB級映画愛が炸裂！★★★★

（2021年／アメリカ／111分／Malignant） 【　製作・原案・監督　】ジェームズ・ワン【　出演　】

アナベル・ウォーリス

ジェイク・アベル

ジョージ・ヤング

ジャクリーン・マッケンジー

マッケナ・グレイス

【あらすじ】

　DV癖のある恋人に悩まされているマディソンは、夢の中で恐ろしい殺人が繰り広げられるのを目撃するという悪夢に悩まされていた。

　やがて、彼女が夢で見た殺人が現実世界でも起こるようになり、マディソンはその殺人現場を疑似体験しているかのような感覚に陥る。

　ついには、マディソンが容疑者として捕まってしまうが、真相は彼女に隠された思いもよらぬ過去だった―

【コメント】

　さて、今回劇場で鑑賞したのは、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭ジェームズ・ワン監督による新感覚ホラー映画である本作。

　とにかく良質かつ先の読めない展開で毎度映画ファンを楽しませてくれるジェームズ・ワンなので、本作の公開も非常に楽しみにしておりました。しかも本作、R18+指定ということで、もしかしたらとんでもないグログロな作品かもしれないと、とにかく気合を入れて「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　いやー面白かった！さすがジェームズ・ワン監督、片時も目が離せない怖さと予想だに出来ない展開。ホラー、スリラー、アクションの要素をごった煮した作品でありながらも、見事に1本の映画に昇華していて、どこか昔懐かしい匂いも漂う。ジェームズ・ワン監督のB級映画愛が見事に炸裂したエンタメホラー作品でしたね。最高です。

　ホラーが基軸となっているだけに、お得意のビックリ展開が随所にあるので、心臓の弱い方がお気を付けくださいという部分はありつつ、謎のモンスター？が大暴れするオープニングの病院のシーンから一気に目を引き付けられる。そこから主人公マディソンのリアルな悪夢体験に悩まされたり、そこで見たエグイ殺人がリアルで起こったり、メチャクチャ俊敏な謎の殺人鬼による見応え十分なバトルがあったりと、本作にはいろんな要素が詰め込まれていつつも決して散漫にはなっていない。しかもそこは、“あえて”のB級感を漂わせるあたりがなんとも映画大好きを感じさせる。

　個人的には、中盤当たりちょっと中だるみ感があったかな～と思ったものの、そこはクライマックスの“とあるシーン”で一気にチャラ。それが本作のネタとなっていて、これまで大暴れしていた謎の殺人鬼の正体やマディソンが悩まされる悪夢の真相、マディソンが気づけば後頭部から出血している謎といった伏線が一気に回収されるわけです。

　ネタバレとなってしまうのでこれは観てほしいところですが、ネタが分かった時「そう来たか！」と思わず身を乗り出してしまいましたね。そして、同時に本作がR18+指定である理由がよく分かりましたよ。映像的にエグイシーンはちょっとあるものの、大してグログロな作品ではない。R18+指定の理由はそこではなかったんですね。どこぞの団体が騒ぎだしそうなネタなので、ちゃんと良識ある大人が観てくださいねってことだったんです。

　個人的にはもうちょっとコンパクトに1時間半程度にまとめたほうがテンポがよかったんじゃないかなーと思いますが、とはいえ本作がB級ホラー好きにはたまらない作りになっているのは確か。改めてジェームズ・ワン監督の手腕の凄さを感じさせる作品でしたね。これからもジェームズ・ワン監督の作品が楽しみでしょうがありません。

【2021年度 Myランキング】（11/14時点）

　本作は、本年度のベスト10中8位（暫定）にランクイン。

　そろそろ暖房つけるか。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ファーザー ★★★★★

　　２位：護られなかった者たちへ ★★★★☆

　　３位：孤狼の血 LEVEL2 ★★★★☆

　　４位：すばらしき世界 ★★★★

　　５位：ヤクザと家族 The Family ★★★★

　　６位：空白 ★★★★

　　７位：ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 ★★★★

　　８位：マリグナント凶暴な悪夢　★★★★