「返校言葉が消えた日」　★★★～台湾の歴史をもっと知るべきだった

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

台湾の歴史をもっと知るべきだった★★★

（2019年／台湾／103分／返校 Detention） 【　脚本・監督　】ジョン・スー【　出演　】

ワン・ジン

ツォン・ジンファフー・モンボーチョイ・シーワンリー・グァンイーパン・チンユーチュウ・ホンジャン

【あらすじ】

　中国国民党の独裁政権化にあった1962年の台湾。台湾は、国民党の強鞭な政策により、市民に相互監視と密告が課せられていた。

　翠華高校に通う女子生徒ファンは、政府から禁じられた本を読む読書会のメンバーだった。ある日、眠りから目覚めた放課後の教室から人の気配が消えていることに気付く。誰もいない校内をさまよっていると、密かにファンを慕う男子生徒ウェイに遭遇、一緒に学校からの脱出を図るが、どうしても外に出ることができない。

　やがて2人は、学校で起きた政府による迫害事件と、その原因をつくった密告者の真相にたどり着く―

【コメント】

　2021年も12月に突入し、今年の映画鑑賞も大詰め。劇場での鑑賞もあと数本を残しFIXの目星がついてきたので、あとはレンタルで見落としたものはないかと、会社帰りの週末に行きつけのTSUTAYAで新作を物色していたところ目についたのが本作。

　ゲームの映画化ということですが、ゲームに疎い僕は知りませんでした。しかしながら、劇場公開されていたのは知っていて、ちょっと観ようかなと思っていた作品だったので、これ幸いとさっそく手に取ってみた次第です。

　むむ、これは・・・ホラーという前知識はあったものの、これを単純なホラー作品として扱って良いものか・・・。本作はホラーがベースになっているものの、SFだったり純愛だったりミステリーといった要素がふんだんに盛り込まれていて、かつ凡百なゲームの映画化作品とは一線を画すクオリティを持った作品で、一言でホラーというには難しい映画です。何より僕は、本作を鑑賞する前にもっと台湾という国の歴史の知識をもっと知っておくべきだったと後悔してます。あれだけの親日国なのに台湾を知らないのはよろしくないですな。

　中国国民党の独裁政権下で、反思想を持った人間をことごとく狩っていた自由のなかった時代を舞台に、誰が仲間たちを密告したのかという謎のもとで繰り広げられるダークな幻想の世界。いろいろと時系列がいじられていたり、何が幻想で何が本物なのか分からぬまま、精神的に追い詰められていく主人公。そこには、主人公の純愛と嫉妬が入り混じった多感な時期ならではの感情も入り混じっていて、ドラマとしてもとても絶妙です。しかしながら時代背景を知っていれば、本作で繰り広げられていることが理解できるんでしょうが、知識がなかったがゆえに僕はイマイチついていけず、せっかくの完成度の高さを僕の無知で楽しめなかったのは残念無念です。