「キングスマンファースト・エージェント」　★★★～これからこの方向でいくのか？

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

これからこの方向でいくのか？★★★

（2021年／アメリカ／131分／The King's Man） 【　製作・原案・監督　】マシュー・ボーン【　出演　】レイフ・ファインズ
ジェマ・アータートン
リス・エヴァンス
マシュー・グッド
トム・ホランダー
ハリス・ディキンソン
アーロン・テイラー＝ジョンソン
ダニエル・ブリュール
ジャイモン・フンスー
チャールズ・ダンス

【あらすじ】

　時は第1次世界大戦、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織“羊飼い”が暗躍していた。

　英国の名門貴族であるオックスフォード公と息子のコンラッドは、人類破滅を阻止するため仲間たちとともに闇の組織に立ち向かい、戦争を止めるために奔走する―

【コメント】

　2021年の映画鑑賞もこれにて終了！ということで、これこそラストを飾るに相応しい作品であろう本作を鑑賞。2015年『キングスマン』、2018年『キングスマンゴールデン・サークル』に続く、待望の第3作目です！

　個人的には、この「キングスマン」シリーズにさほどの思い入れはないものの、世界が待ち望んだスタイリッシュなスパイアクション大作。新型コロナの影響で延期に延期を重ね、満を持しての公開ということで、映画ファンとしては観ない選択肢などないだろうと、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　うむ、なるほど。前2作とはちょいと方向性を変えてきましたね。

　本作はいわゆるイギリスの貴族が立ち上げた政府非公認のスパイ組織“キングスマン”の誕生を描いた、いわゆるエピソード0の位置付けで、第1次世界大戦というリアルな背景と密接にリンクさせ、いかにしてキングスマンなる組織が出来上がったかというストーリーになっています。なので、ロシアの僧侶ラスプーチンやらダンサーのマタ・ハリやらと、実在した歴史上の人物をうまく絡めて、話が進んでいきます。もっとも、第1次大戦時の世界情勢に疎い僕としては、どういう背景で誰がどんな関係なのかは全く分からなかったので、ちょいと厳しい内容になってましたが。

　とはいえ、前2作が世界的にも大ヒットしているものの、エピソード0に着手するにはいささか早すぎるんでないかい？という気がしないでもありません。しかもラスト、明らかに本作が続きますよ的な終わり方をするので、ああ、これからリアルな歴史とリンクさせる方向でキングスマンは行くのね～と感じましたね。

　アクション的には相変わらずスタイリッシュで申し分はないし、涙なしでは見られないドラマチックな展開もあるので、ひとつの作品としては前2作の知識なくとも十分に楽しめるとは思いますが、やっぱり第1作目のインパクトがかなり強くて、それと比較すると本作はどうしても普通のアクション映画という位置付けから脱していないような気がします。