「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。
これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

ライアン・ゴズリング
アメリカ・フェレーラ
ケイト・マッキノン
マイケル・セラ
アリアナ・グリーンブラット
ウィル・フェレル
シム・リウ
ヘレン・ミレン
エメラルド・フェネル
【あらすじ】
ピンクに彩られた空想の世界“バービーランド”。そこで暮らすバービーは、ボーイフレンドのケンたちと毎日ハッピーな生活を過ごしていた。
ところがある日、彼女の身体に異変が起こり、世界の秘密を知る変わり者のバービーに相談、ケンとともに人間の世界へと旅に出る。
バービー人形によって人間の世界をハッピーにさせたと思い込んでいたバービーは、ロサンゼルスで現実を目の当たりにし愕然とする。一方で、人間の世界が男の社会であることを知ったケンは、バービーランドに戻り男の社会を作ってしまい、バービーランドを混乱させる。
そんな中、バービー人形を作っているマテル社は、バービーとケンが人間の世界に来ていることで大慌て。バービーはマテル社に追われる羽目になってしまう―。
【コメント】
実家・盛岡にて絶賛夏休み満喫中の今日この頃。夏休みも後半に入り、徐々にまた仕事の影が見え始めてきており、ぐうたら生活もそろそろ終わりかーと気が重くなっております。
そんな中で映画館でゆっくり現実逃避するかと、今回チョイスしたのが何かと話題の本作。未だ日本では公開未定のクリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』とのコラボで大炎上してしまった本作です。
まあそこらへんは置いておいて、僕は普通だったら本作を劇場で観ようとは思いません。バービー人形についてはまったくもって興味ないし、それを実写化となればなおさら。だいたいこの手の映画はなんじゃこりゃ!?みたいなヘンテコリンな映画になりがち。
しかしながら、本作の監督が2019年『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』で一躍名を上げたグレタ・ガーウィグとなれば話は別。絶対に普通の映画にはならないぞという匂いを嗅ぎつけたので、一路「盛岡フォーラム」に足を運んだ次第です。
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
ほら、やっぱり。一筋縄ではいかない映画に仕上がってましたね。
バービー人形大好きな少女向けのファンタジーコメディだと思いきや、男性社会、女性の権利といった主張やメッセージがこれでもかと詰め込まれている。とにかく主張が強い映画。
あのゴテゴテのピンクに彩られた予告に釣られて観に来た観客は「なんか思ってたのと違う・・・」「よく分からない・・・」と戸惑うに違いない。まあ予告でこんな映画ですなんて宣伝したら客足遠のきますからね、騙されたと感じた人はご愁傷様と言わざるを得ません。
とにかく本作は、ファンタジックな世界観に自身のテーマを“ほんのり”と匂わせるレベルではなく、“明確に”“はっきり”と主張しています。その主張を受けて観客がどう感じるか、それが本作の要になっていくことでしょう。
そんな僕の本作の感想は以下の3つです。
1.テーマはともかくユーモラスで面白いのは確か
2.マーゴット・ロビーがとにかくキュート
3.周りに惑わされず自分らしく生きよ!ということ
まず、本作に込められたうるさいほどの主張は置いといて、ファンタジーラブコメとしてはとても面白いです。バービーランドという設定も色使いもぶっ飛んだ世界観を観ているだけでも楽しいし、現実の人間世界で起こす騒動やバービーランドがケンたちに乗っ取られようとする後半のドタバタ劇、随所にちりばめられているバービー人形マニアならニヤリとさせられるアイテムの数々など、とにかくテンポが良くあれよあれよと物語が進んでいく。ラストのバービーとその創始者との会話で自分らしさを求め旅立っていく。一本の映画としてはとても良くできていると思います。バービー人形にまったく興味のない僕からしてもとても楽しい時間でしたね。
加えてマーゴット・ロビーとライアン・ゴズリングをはじめとした出演者たちのキャラもとても立っていて印象的。ライアン・ゴズリングなんかこれまでにないほどのユーモラスでコメディエンヌな役どころで弾けまくっていたし、アジア版ケンはマーベルのシャンチーですね。
それよりもやっぱり主役であるマーゴット・ロビー、このアクトレスあっての本作と言っても過言ではない。とにかくキュートでユーモラスで演技派。ほんと、本作でさらに名を上げましたな、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いです。
で、肝心の本作に込められたテーマ、グレタ・ガーウィグ監督が本作で主張したいことですが。
ストーリーが展開するうえで、やたら女性上位の社会、男性上位の社会と、何かと男女の優劣について語られるし、人間界の男どもがやたらゲスい描かれ方をされているので、本作も昨今盛んなMeToo運動の一環と捉えられたり、ポリコレだ男女平等だなどといった差別への主張なのかと捉えられがち。
でも僕としては、結果として「男や女、ましてや人種なんて関係ないじゃない、自分の好きなことをやって自分らしく生きようよ!」ということなんだろうなーと感じましたね。
男らしく女らしく、そんな〇〇らしくという世間で固められた観念なんてのが結局のところ自分らしく生きるための足を引っ張っている。もっと個性を、と言いながら、個性を出せば目立ち過ぎだと叩かれる。そんな世の中言われている固定観念の矛盾を指摘し、そんな世間の固定観念なんて吹っ飛ばして自分らしさを出していこうぜ!というのが主張なんだと思います。それこそ、人間界のグロリアがバービーたちの洗脳を説いた主張こそが本作のテーマなんだと直感しました。
まあ監督が女性ですからね、どうしても女性目線での主張になってしまうので、固定観念ガチガチの人が観たら気に食わないかもしれません。もしかしたら、本作は固定観念ホイホイの作品と言ってもいいかもしれませんね。
(C)2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
世界中の少女たちに夢を与えるバービー人形を作ったマテル社も、よくこのシナリオを了承したもんだと思います。まあ結果的に大ヒットしているので、これでますますバービー人形は売り上げを伸ばすことでしょうが、もしこの社内的メッセージが変な捉えられ方をしたら、とんでもないことになっていたことでしょう。マテル社の勇気にも拍手です。
バービー人形も歴史が古いし、その過程で職種や人種などいろんな社会的な動向を踏まえた人形を発売して世間に合わせてきましたからね。そんな事情も映画に込められていると思います。
ちなみに、日本ではバービー人形は全然人気が出なかったようで、日本ではリカちゃん人形が売れたようです。
【2023年度 Myランキング】(8/17時点)
本作は、本年度のベスト10中10位(暫定)にランクイン。
風呂掃除後の入浴は格別ですな。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆
2位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 ★★★★☆
4位:ロストケア ★★★★
5位:ヴィレッジ ★★★★
10位:バービー ★★★☆
次点:ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ナイツ・オブ・ザ・ゾディアック 聖闘士星矢 The Beginning ★★
<その他ランク外一覧>
映画 イチケイのカラスカンフースタントマン 龍虎武師キラーカブトガニルパン三世VSキャッツ・アイ(未)スランバー・パーティー大虐殺FALL フォール#マンホールバイオレント・ナイトシャイロックの子供たちBLUE GIANT湯道別れる決心ミッドナイト・マーダー・ライブフェイブルマンズシャザム!神々の怒りマッシブ・タレントエスター ファースト・キル生きる LIVINGAIR エアスマホを落としただけなのに(未)search#サーチ2東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-ナイブズ・アウト:グラス・オニオンTAR ター最後まで行く岸辺露伴 ルーヴルへ行くクリード 過去の逆襲極道統一怪物M3GAN ミーガンワイルド・スピード ファイヤーブーストスパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース大名倒産バビロン東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-ホーリー・トイレットPearl パール君たちはどう生きるか65 シックスティ・ファイブオオカミ狩り逆転のトライアングルトランスフォーマー ビースト覚醒ダークグラスリボルバー・リリープロジェクトX-トラクション(未)ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

