「死霊のはらわたライジング」★★★～オリジナルには遠く及ばず（たぶん美化）

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

オリジナルには遠く及ばず（たぶん美化）★★★

（2023年／アメリカ／96分／Evil Dead Rise） 【　製作総指揮　】サム・ライミブルース・キャンベル 【　脚本・監督　】リー・クローニン 【　出演　】リリー・サリバン

アリッサ・サザーランド

モーガン・デイビス

ガブリエル・エコールズ

ニール・フィッシャー

【あらすじ】

　アメリカ、ロサンゼルスに子どもたちとアパートで暮らしている姉エリーに逢いに来たベス。

　その矢先、ロサンゼルスで大地震が発生、アパートは半壊状態になる。そのアパートの地下から謎の古びた部屋が現れ、子供たちは古い書物とレコードを持ち帰る。

　しかし、その書物は“死者の書”であり、レコードには死霊を甦らせる呪文が吹き込まれていた。レコードを再生してしまったことでエリーに死霊が取りついてしまい、ベスと子どもたちを恐怖のどん底に陥れる―

【コメント】

　今年のビッグバケーションの夏休みも終わり、また忙しない日常へと戻り、ため込んだ仕事で残業の日々を過ごしている今日この頃。バタバタだった1週間も終わり、ホッと一息の週末に今回TSUTAYA DISCASにてレンタルしたのが本作です。

　本作は、ホラー映画の傑作と名高い1981年のサム・ライミ監督『死霊のはらわた』の正当続編ということのようですが、その割には劇場未公開のDVDスルーという何ともショボい扱い。当のサム・ライミも製作総指揮に回り、その完成度はなんとなく分かってしまった気もしてしまいましたが、とにもかくにも正当続編ならば観ないわけにはいかないとレンタルしてみた次第です。

　うん、まあ予想どおり。可もなく不可もなく、昨今のグロい演出やらのコンプライアンスにも配慮した、いたって普通のホラー映画でしたかね。まあそこそこエグいシーンはありますが、リメイクされた2013年版の『死霊のはらわた』にすらも遠く及ばず。もちろん、オリジナルである1981年版のインパクトにもはるか遠く及ばずといったところですね。40年以上も前のホラーなので、もしかしたらいいように記憶が美化されてしまっているのかもしれませんが。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．コンプラに配慮した普通のホラー

２．オリジナルには遠く及ばず（たぶん美化）

３．やっぱりサム・ライミ監督のホラーが観たい

　オリジナル版って今のホラー映画の礎になっている演出が多々ありまして、それこそビクッとさせるようなビックリ演出なんかはまさにそう。当時のゴア描写なんかもかなりエグいし、山小屋というクローズドな舞台で悪魔に憑りつかれて人間をぶっ殺しまくるといった展開もそう。それでいて怖いながらもどこかユーモラスで、笑いと怖さが紙一重で展開していく。とにかく、オリジナル版は当時のホラー映画の中でも群を抜いて凄かったわけです。

　しかしながら、その正当続編である本作は、演出も展開も怖さもグロさも至って平均点。オープニングこそ悪くなかったものの、アパートが舞台になると既視感満載のオーソドックスなホラー展開が続いて、オリジナルはおろか他のホラー映画と比較しても突出したものが何もない。ぶっちゃけ、設定を山小屋からアパートに移しただけ。

　そりゃあそうだよ、オリジナル版が昨今のホラー映画のフォーマットになっちゃったんだから。そのフォーマットで山ほどホラー映画が作られてきたわけだし、それをまた踏襲したところで超えられるわけがない。DVDスルー致し方なしといった完成度でしたかね。