容疑者X 天才数学者のアリバイ　（評価：★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2013』の掲載にあたって」

ネタ分かっちゃってる時点で面白さ半減

★★★
（★…1点　☆…0.5点，★5つで満点）

（2012年／韓国／110分／容疑者X ）

【　監督　】
パク・ウジン

【　原作　】
東野圭吾
容疑者Xの献身【文春文庫】

【　出演　】
リュ・スンボム
イ・ヨウォン
チョ・ジヌン
クァク・ミノ
キム・ボラ
キム・ユンソン

【あらすじ】

　高校の数学教師であり、類まれなる数学の才能を持っているソッコは、アパートでひとり静かに暮らす独身者。
　ある日、ひそかに想いを寄せているファソンとその姪が住む隣室で激しい物音が聞こえる。ファソンは、暴力的な前夫を過って殺してしまっていた。
　ソッコはファソンを助けるため完璧なアリバイを作り出し警察を煙に巻くのだったが、担当刑事でありソッコ高校時代のの同級生であるミンボムは、ソッコが何かしら関係しているのではないかと疑い捜査するのだが―

【コメント】

　本作の原作である「容疑者Xの献身」は、第134回直木賞を受賞した東野圭吾の代表作であり、日本でも福山雅治のTVドラマ「ガリレオ」シリーズの延長線上として映画化された作品でありますが、僕はその映画版がDVDを買っちゃうくらい大好きでありまして、そのトリックもさることながら、福山と堤真一の熱演による“天才物理学者VS天才数学者”の構図がたまらなく面白かったわけです。
　その題材を、ガリレオに当てはまる天才物理学者というキャラを大胆にもバッサリと切りおとし、韓国映画陣が作ったのが本作であるわけです。そこは代わりに刑事というところに落ち着き、幸薄い天才数学者を主人公にした形でリメイクしたわけですね。

　まあそんなわけで、元ネタが好きだったこともあって、韓国がどんな形で材料を料理したのかとちょいと楽しみにして鑑賞したわけです。
　ガリレオは登場しませんが、本筋も展開もトリックすらもほぼ忠実でしたね。まあ悪くはありません。悪くはありませんが、そもそものネタが分かっちゃってる時点で残念ながらこれは面白さ半減でしたね。
　人物のもつ仕事やら背景やらも日本のそれと全てと言っていいくらい同じで、なんか韓国ならではの要素をもっとぶち込んで料理しちゃっても良かったんじゃないかなと。
　まあでも、原作がこれだけ綿密に構築されていると、逆に筋書きをヘタに弄るよりも忠実に、というほうが破綻もなく確実なのは確かですが、韓国内でも原作や福山映画は公開されているはずですし、これでは韓国民たちも真新しさやリメイクの必然性って感じなかったのでは？と思ってみたり。