キャリー　（評価：★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2013』の掲載にあたって」

キャリーいきなり強すぎ

★★★

（2013年／アメリカ／100分／Carrie）

【　監督　】
キンバリー・ピアース

【　原作　】
スティーヴン・キング
キャリー（新潮文庫）

【　出演　】
クロエ・グレース・モレッツ
ジュリアン・ムーア
ナンシー・アレン
ジュディ・グリア
ポーシャ・ダブルデイ
アレックス・ラッセル
ガブリエラ・ワイルド
アンセル・エルゴート

【あらすじ】

　ハイスクールに通うキャリーは、同級生からいじめの対象となっており、狂信的なクリスチャンの母親からも疎まれていた。
　ある日キャリーは、自分に超能力があることに気づき、図書館でひとり熱心に超能力の本を読み漁っていた。そんなとき、人気者のトミーからプロムに誘われ、母親の反対を押し切ってプロムに参加する。
　しかし、そこにはいじめのリーダーの罠があり、それがキャリーに降りかかったとき、キャリーの怒りが爆発し、プロムが地獄絵図と化す―

【コメント】

　本作の1976年版（シシー・スペイセク主演）については、もう20年以上前に観たにもかかわらずすごく記憶に残っていて、当時学校の寮に住んでいた時に、同部屋の友人とワーワー言いながら鑑賞していたのを憶えています。
　そもそも、主演のシシー・スペイセクの怪演もさることながら、ブライアン・デ・パルマというサスペンスの名監督が作った映画ということもあって、その恐怖度は後のホラー映画の演出に多大な影響を与えた名作であることは疑いようがないですね。
　そんな名作を、あの『キック・アス』のヒットガール、クロエちゃんが主演するとあって、期待半分ネタ半分の気持ちで観に行ってみた次第です。

　可愛いな～クロエちゃん。
　あれですね、ヒットガール時代のおチビちゃんから成長したクロエを見るだけでも意義のある映画ですね。まだ16歳とはいえ、女性としても身長もとても成長してますよ、はい。アイドル性十分です。まあ、ぶっちゃけそれだけの映画でしたが。
　クロエちゃんの熱演は認めるものの、“いじめ”という対象者としてはどうしても見られないんですよね、可愛すぎて。シシー・スペイセクのあの薄幸感が感じられず、むしろリア充感が滲み出ちゃってる。あれは普通にモテるだろ？ハイスクールボーイは黙っちゃいないですって。だって可愛いもん。
　本作の一番の見どころである“キャリー大暴走”のシーンにしても、どうもね。あの場面に感情移入させるには、とにかく陰湿ないじめに合うというシーンを胸くそ悪くなるくらいに詰めとかなきゃならないわけだし、母親からの抑圧も息苦しいものでなくてはならない。なのに本作でキャリーは先生や罪悪感を持つ同級生に救われまくっていて、あれだけ暴れまくる原動力にはなっていないと思うんですよ。
　加えて、キャリーいきなり強すぎ、超能力を巧みに操り過ぎ。いや、僕は超能力持ってないんで修行が必要かどうかもわかんないんですが。なるほど、これが天賦の才というやつか。いやいや、あの場面はキャリーが「もうイヤーーー！！！」ってなる場面なわけじゃないですか、超能力が制御不能の大暴走というわけじゃないですか。その割に非常に丁寧な扱い方をしているような気がするんですよね。