白ゆき姫殺人事件　（評価：★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2014』の掲載にあたって」

面白いが映画にするほどの内容であったか？

★★★

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（2014年／日本／126分）

【　監督　】
中村義洋

【　原作　】
湊かなえ
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【　出演　】
井上真央
綾野剛
蓮佛美沙子
菜々緒
金子ノブアキ
谷村美月
小野恵令奈
染谷将太
秋野暢子
ダンカン
宮地真緒
貫地谷しほり
生瀬勝久

【あらすじ】

　日の出化粧品の美人社員である三木典子が遺体となって発見された。複数箇所を刃物で刺され燃やされるという凄惨なものだった。
　テレビ局の契約社員・赤星は、知り合いの日の出化粧品社員・里沙子から、典子の同期である地味な女性・城野美姫が真犯人ではないかと聞かされ、城野の身辺を調査することに。
　次第にインターネットやワイドショーでは、あたかも城野の犯行であるかのように広がっていき、やがて意外な真相が明かされることになる―

【コメント】

　新年度へ向け、旧居をあとに明日はいよいよ新居へ引越しだ！という日にもかかわらず、映画好きの僕は荷造りも中途半端に夜な夜な劇場に足を運んで鑑賞した本作。いやだって楽しみだったんスよ、これ。なんたって傑作『告白』の湊かなえが原作であり、かつ監督があの中村“お分かりいただけただろうか”義洋であれば期待しないわけにはいかんでしょうに。井上真央や綾野剛などの若手のホープも揃い踏みだし、そりゃ引っ越しの荷造りもそこそこに公開当日に観に行っちゃうってわけですよ。
　そんなわけで、ワクワクしながらレイトショーに足を運んだ次第なのであります。

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　うむ、なるほど、なかなか面白かったッス。映画にするほどのスペシャルな感じはありませんでしたが。
　ストーリー展開は、いわゆる芥川龍之介の名作「藪の中」にも似た手法で、徐々に真相に近づいていくあたりにどんどんのめり込んでいくし、「城野美姫とはどんな人物なのか？」「本当に真犯人なのか？」「真相はいったいどうなるってるんだ？」といったワクワクドキドキ感はたまりません。本作のテーマでもある（と思われる）“ウワサに振り回される傍観者たち”の気分をしっかりと堪能させてもらいました。
　井上真央もさすがです。あそこまで地味でイモ臭い雰囲気を出せたのは素晴らしい。見事に菜々緒と対照的なキャラを作ることが出来ましたね。やはりこのコは若手のホープですな。

　しかしながら、先にもいったとおり、映画にするほどのスペシャルな内容であったのかは甚だ疑問。
　本ブログでも何度も書いていますが、映画は自らが映画館に足を運び１，８００円もの大金を払って初めて観ることができるもの。それに見合ったスケールやテーマがあってしかりだと思うんです。だから何憶何十億もの製作費をかけて映画は完成するし、おおよそテレビでは実現できないタブーや社会問題を扱っているわけです。そして芸術性も。
　じゃあ本作は？となると、ツイッターなどのインターネットによる一般人の無責任な発言や、ワイドショーなどの視聴率重視で真相の精査などしていないメディアなどによる、いわゆる風評被害をテーマにしているわけですが、結局のところ「この程度テレビの２時間ドラマでできねーの？」ってなるわけです。それほどに「インターネットってコワいな～」とか「マスコミっていい加減だな」といったような考えさせられるほどの重さは感じられなかったのが残念でしたかね。

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