チョコレートドーナツ　（評価：★★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2014』の掲載にあたって」

ぶっちゃけ泣けなかったけど伝わってくる

★★★★

（2012年／アメリカ／97分／Any Day Now）

【　脚本・監督　】
トラヴィス・ファイン

【　出演　】
アラン・カミング
ポールギャレット・ディラハント
マルコアイザック・レイヴァ
フランシス・フィッシャー
グレッグ・ヘンリー
ジェイミー・アン・オールマン
クリス・マルキー
ドン・フランクリン

【あらすじ】

　1979年のカリフォルニア。
　シンガーを夢見るショーダンサーのドラァグクイーン・ルディは、店でゲイであることを隠しながら生きる検察官ポールと出会い、恋に落ちる。
　そんな中、ルディが暮らすアパートの隣に住む薬物依存症の女との口論がきっかけで、女の息子であるダウン症のマルコと出会う。女は薬物所持で刑務所に入れられ、ルディはポールとともにマルコと一緒に暮らすことになる。
　ルディとポールは我が子のようにマルコに愛情を注ぎ、マルコも明るく元気な子になっていくが、ゲイという理由でポール仕事を解雇され、マルコも家庭局に連れて行かれることに。
　ルディはポールとともに、マルコを取り戻すための裁判に挑むのだが―

【コメント】

　TBS土曜のお昼に放送している「王様のブランチ」において、LiLiCoが号泣しながら紹介していた本作。この人よく泣くよな。まあでも、ここ最近とんと泣ける映画に出会っていないし、こんだけ泣きながら紹介するのならば「よっしゃ俺も観て号泣してみようじゃあないか」と行動してしまうのが映画好きの哀しいサガであるわけです。
　しかしながら、公開している劇場が極端に少ない！公開当初は銀座だけだったのが、ようやく新宿でも公開されたので観に行った次第。ゲイとダウン症という組み合わせがイマイチ広がらない原因なのだろうか。相変わらず空気読み過ぎだな、配給会社は。こういう映画こそたくさんの人間が観るべきなのに。

　沁みるね～胸にジーンと沁みる。
　ぶっちゃけ、LiLiCoほど泣けなかったわけですが、確かなものは伝わってきます。
　昨今のブームなのか本作も実話ベースのようですが、泣けるようにかなりの脚色はしているとは思いますし、若干のあざとさは感じ取れます。しかしながら、決してハッピーなものではなく、感動・やるせなさと同時にとても考えさせられるものがありましたね。
　本作は、ゲイのようなマイノリティが社会で生きることの困難さを表しているのと同時に、「果たして法が正義なのか？」という問いかけもあるんだと思います。それは、黒人弁護士が言っていたセリフ「法律が正義だと思っているのか？そんなことは学校で一番最初に教えていることだ。それでも俺たちは戦うんだ。」にすべてが詰まっていると僕は感じました。
　いやでも、本作の素晴らしさはストーリーもさることながら音楽。とにかく音楽のチョイスがとてもいい。泣けなかったとは言いつつも、特にラストでルディが歌い上げる“I Shall Be Released”は鳥肌モノです！原曲はボブ・ディランのようですね、これ。