「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
無言の衝撃
★★★☆
(2014年/ウクライナ/132分/Plemya)
【 脚本・監督 】
ミロスラブ・スラボシュピツキー
【 出演 】
グリゴリー・フェセンコ
ヤナ・ノビコバ
【あらすじ】
聾唖者専門の寄宿学校に入学したセルゲイ。その学校では、裏で犯罪や売春などを行う組織が形成されていた。
入学早々、手荒い歓迎を受けたセルゲイだったが、次第に組織の一員として認められ、恐喝や売春に加担していく。
しかし、セルゲイはリーダーの愛人アナに恋してしまったことから、リンチに遭い組織のつまはじきにされてしまう。そしてセルゲイは、怒りと憎悪に身を任せある行動に出る―
【コメント】
さて、たまにはミニシアター系でも観とくか、と思ってたわけではありませんが、公開時にちょいと気になっていたので鑑賞してみました本作。めったにお目にかからないウクライナ製の映画です。
公開している劇場も圧倒的に少なく、マニア系の映画を多く公開している新宿シネマカリテで鑑賞してきた次第ですが、やはりマニア系映画なだけになかなかの集客。本作のような衝撃作品をマニアで共有できる空間に身を置くこんな鑑賞方法もまたおつなもんです。
本作の何が凄いって、全編手話のみの、しかも字幕なし。まさに無言の衝撃作品なんです。
本編2時間ちょいの映画なんですが、登場人物が全員あれなだけに一切の言葉を発しない。発する人物も登場しない。聴こえるのは車や物音の騒音のみ。BGMも一切ない。そんな状況の中でストーリーが進んでいくのだが、それでいてストーリー自体は観客にしっかりと伝わってくるし、しかも内容はかなり過激で陰湿。
こんな実験的な作品が今まであっただろうか。大昔のチャップリンのようなスラップスティックなものとは全然違うまさに“サイレント映画”で、本作を作った監督の手腕に驚きです。そもそも本作を作ろうと思った経緯や作品自体の意図は定かではありませんが、それを考えるより前に本作の登場人物を使ってお涙を頂戴しようなんて微塵も感じさせない殺伐とした雰囲気が、確実に今まで観てきた作品とはあきらかに違うインパクトを覚えるに違いありません。
たまにはこんなこじんまりした作品を、と思って鑑賞した本作でしたが、思った以上に衝撃を受けた佳作といえるでしょうね。めずらしいウクライナ映画を体験しましたが、どの国にもこれほどの手腕を持った映像作家がいるということを改めて実感させた映画でした。
【2015年度 Myランキング】(4/26時点)
本作は、本年度のベスト10中4位にランクイン。
決め手の映画がまだないな。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:フォックスキャッチャー ★★★★
2位:" target="_blank">セッション ★★★★
3位:プリデスティネーション ★★★★
4位:ザ・トライブ ★★★☆
5位:アメリカン・スナイパー ★★★☆
6位:ソロモンの偽証 前篇・事件 ★★★☆
7位:マッハ!無限大 ★★★☆
8位:ミュータント・タートルズ ★★★☆
9位:ワイルド・スピード SKY MISSION ★★★☆
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:ソロモンの偽証 後篇・裁判 ★★
2位:ハネムーン ★★
3位:デッドハング ★★
<その他ランク外一覧>
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