「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
現代にも通じる知的な時代劇コメディ
★★★☆
(2016年/日本/129分)
【 脚本・監督 】
中村義洋
【 原作 】
磯田道史
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【 出演 】
阿部サダヲ
瑛太
妻夫木聡
竹内結子
寺脇康文
きたろう
千葉雄大
橋本一郎
中本賢
西村雅彦
山本舞香
岩田華怜
堀部圭亮
羽生結弦
松田龍平
草笛光子
山崎努
【あらすじ】
江戸中期の仙台藩。
重税にあえぐ宿場町・吉岡藩では、百姓や町人たちは夜逃げが後を絶たず、造り酒屋の主・穀田屋十三郎は町の行く末を案じていた。
そんな中、茶師の菅原屋篤平治がある秘策を打ち出す。それは、大金を藩に貸し付け、藩から利息を得るというものだった。その額、千両。現在のお金にして3億円。
十三郎ら宿場町の仲間たちは、打ち首覚悟で水面下で大金を掻き集めようと奔走するのだが―
【コメント】
さて、今回は劇場の予告編でさんざん観てきた本作をチョイス。
予告編を観る限り、江戸時代を舞台にしたハチャメチャコメディっぽく感じたのですが、本作の監督が中村“お分かりいただけただろうか”義洋ということなので、一味違う映画であることを期待して、レイトショー「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。
緻密に練られた知的時代劇コメディ
さすが中村義洋監督、良い意味で期待を裏切ってくれましたね!緻密に練られた脚本、散りばめられた伏線とその回収、ユーモラスなキャラクターたちが繰り広げるストーリーとラストの感動。派手さはないものの、確かな見応えがある知的な時代劇コメディでした。
茶師の菅原屋が軽い気持ちで言った一言が、あれよあれよという間に良い方向に進んでいく愉快な展開、それを取り巻くひと癖もふた癖もある町人たちとそれぞれのエゴのぶつかり合い、浅野屋に隠された哀しい事実、そしてお上との対面。いろんな要素が詰まっていて、全然退屈しないどころか、練りに練ったシナリオに感心してしまいました。
クセのある役者たちがしっかり支える映画
本作が面白いのはストーリーはもちろんですが、クセがありまくる役者陣こそ本作をしっかりと支えていると言っても過言ではないですね。
キャラ的に“阿部サダヲ=ドタバタコメディ”という先入観がどうしてもあったんですが、本作ではキャラ推しはかなり控えめどころか、かなり泣かせる演技を披露していますね。
他にも瑛太や妻夫木聡、竹内結子、寺脇康文、きたろう、西村雅彦、千葉雄大など、これまでとは一味違う演技を披露していましたし、松田龍平の変わり者の役人も面白い。重鎮・山崎努のどっしりと懐が深い演技も見応え十分。羽生結弦が殿様役で登場したのはビックリですが、しっかりとした存在感があって良かったですね。
ラストに驚かされる実話
本作で本当に驚いたのは、現代に場面が写ったラストシーン。
おそらくは大きく脚色はされているものの実話がベースという本作、それを物語るかのようなラストが待っているんですね。「あ、本当に実話だったんだ!」と感じさせるラストへの持っていき方が秀逸で、ちょっとしたサプライズ展開でしたね。
現代にも通じるストーリー展開
本作をサラリーマンの視点から見ると、今も昔もやっていることってさほど変わりないんだなーと感じます。
現状を何とか打開しようと有志を集め、あーでもないこーでもないと打ち合わせて実行し、ブレたら逐次修正して、お上(=上司)に理屈でもってお伺いを立てる。これはいわゆる稟議書というやつです。だけどお上にはお上の事情があって稟議書に判は押さす却下。それでも負けずに違う方法でお上に伺いを立てる。
実行者はそれぞれの思惑があって、誰かしらが手柄を自慢しようとしたり、特にならないことはしないと生還する者もいる。まさに現代の社会にも通じるお話で、そういったところが本作を面白くさせている要因でもあると感じます。
RCサクセション「上を向いて歩こう」
本作のテーマソングを飾るのは、坂本九の名曲「上を向いて歩こう」のRCサクセションによるカバー。原型をかなりアレンジしたロックバージョンですが、忌野清志郎節が炸裂していてGOODです!
【2016年度 Myランキング】(5/14時点)
本作は、本年度のベスト10中8位(暫定)にランクイン。
夜の半袖はまだ厳しい。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:シビル・ウォー キャプテン・アメリカ ★★★★
2位:オデッセイ ★★★★
3位:アイ アム ア ヒーロー ★★★★
4位:マジカル・ガール ★★★★
5位:さらば あぶない刑事 ★★★★(思い出補正あり)
6位:ボーダーライン ★★★☆
7位:ヘイトフル・エイト ★★★☆
8位:殿、利息でござる! ★★★☆
9位:スポットライト 世紀のスクープ ★★★☆
10位:ズートピア ★★★☆
次点:ちはやふる -上の句- ★★★☆
ちはやふる -下の句- ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:セーラー服と機関銃 -卒業- ★★
2位:X-ミッション ★★☆
3位:信長協奏曲 ★★☆
<その他ランク外一覧>
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『殿、利息でござる!』公式サイトはこちら
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