「BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」　★★★～一味違うスピルバーグの手腕はさすが

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

一味違うスピルバーグの手腕はさすが★★★

【あらすじ】

　ロンドンの児童養護施設に暮らすひとりぼっちの少女ソフィー。

　ある真夜中、こっそりと窓から街の様子を眺めていたところ、巨大な手に持ち上げられ、“巨人の国”に連れて行かれてしまう。

　ソフィーを連れ去ったのは、夜ごと子どもたちに夢を届ける、優しい巨人BFG（ビッグ・フレンドリー・ジャイアント）。最初は怖がるソフィーだったが、孤独なBFGと次第に心を通わせていく―

【コメント】

　さて、もはや知らない人はいないであろうハリウッドの巨匠スティーブン・スピルバーグが、原点回帰とばかりに久々にファンタジーものに取り組んだ本作。

　ひとりの少女と巨人の交流を描いた心温まるファンタジーということで、「王様のブランチ」でもLiLiCoが涙ぐむほどおススメしていた本作ですが、正直、個人的には「ファンタジーねぇ～」とあまり乗り気じゃなかったわけで。

　それでもまあ、スピルバーグ御大の監督作品ということで一見の価値はあるかなと、夜の「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

一味違うスピルバーグの手腕はさすが

　うん、なかなか良かったです。スピルバーグ作品に限らず、この手のほっこりファンタジーは山ほどあるものの、やっぱりスピルバーグ印は一味違うな～と感じさせる一本でしたね。

　ぶっちゃけ、展開としては非常にオーソドックスで、なぜ今さらスピルバーグ御大は本作を監督したのかと思うくらい、子供と怖い存在との心の交流といったディテールはもはや使い古された題材ではあるものの、本作はそんな凡百なファンタジーものとはちょっと違う、いつの間にか映像に引き込まれてしまう不思議な力があると感じます。そこがスピルバーグのマジックなんでしょう。

　後半のあっさり過ぎる終わり方はちょっと物足りなさを感じたものの、百戦錬磨の監督は観客を惹きこむ力を持っていますね。

観れば観るほど愛着が湧いてくるBFG

　本作の見どころはやっぱりBFGという心優しい巨人、これに尽きますね。もろCG感がある巨人ではあるものの、オープニングのロンドンの夜の街を忍者の如く忍んで歩く姿や、ソフィーとの交流、王室での立ち振る舞いなどなど、観れば観るほど不思議に愛着が湧いてくるんですね。

　純粋で心優しいBFGを演じたマーク・ライランスは、年初めに観た『ブリッジ・オブ・スパイ』でも非常に味のある演技をしていましたね。歳を取って注目を浴びてきたベテラン俳優なので、今後の活躍に期待です。

イギリスらしい？後半の展開

　本作で興味深かったのは、後半において英国女王に助けを借りて悪い巨人を一掃するという展開。まさか、英国の女王が巨人に理解を示して軍隊まで動かしちゃうという展開には正直驚きましたね。

　考えてみれば、イギリスにおいて女王というのは世界でも有数の伝統ある王室なわけで、本作での展開というのは、ある意味英国の王室が絶対的な存在であるという表れなんだと感じましたね。