「パーフェクト・ルーム」　★★★～監督のセルフカバー映画

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2016』の掲載にあたって」

監督のセルフカバー映画★★★

【　出演　】カール・アーバンジェームズ・マースデンウェントワース・ミラーエリック・ストーンストリートマティアス・スーナールツイザベル・ルーカスレイチェル・テイラー

【あらすじ】

　建築家のビンセントとその友人のクリス、ルーク、マーティ、フィリップは、５人が共有し秘密の情事を楽しめるマンションを購入、各人はそれぞれ妻に内緒で情事を繰り広げていた。

　ある日、その部屋で女性の他殺体が見つかる。部屋の鍵を持つのは５人だけの中、互いにアリバイを探りながら犯人を突き止めようとするが、そこにはそれぞれの思惑が隠されていた―

【コメント】

　さて、師走に入り土日の仕事が若干増え始め、なかなか映画館に行けなくなっている今日この頃。せめてレンタルではと思い、いつも行きつけのTSUTAYAで物色していたところ、“TSUTAYA先行レンタル”なる本作を発見。

　本作は、2008年にベルギーで10人に1人が観たと言われる大ヒットミステリー映画『ロフト．』の同監督によるハリウッド・リメイクとなっていて、そもそもリメイク元の『ロフト．』を観てねーなと、先ずは『ロフト．』を鑑賞後、本作を鑑賞した次第です。

　いや～、ある意味凄い。何が凄いって、元ネタの『ロフト．』を見事に完コピしているから。もっとも、元映画と同じ監督が監督した映画なので当たり前っちゃ当たり前なんですが、部隊がアメリカだからちょっとシチュエーションを変えようとか、前の反省点を踏まえてちょっとタッチを変えてみようとか、そういった部分は一切ない完全な監督のセルフカバー映画でした。

　『ロフト．』を先に観たからこその感想ですが、オープニングシーンも一緒、中身の展開も一緒、ラストも一緒。違うのは役者だけという、なんのひねりもないビックリな映画です。これはかつて市川昆監督が『犬神家の一族』で同様のセルフカバーをしていましたが、それに通じるものがありましたね。

　まあ、元映画を観ていない人が本作を観ればそれなりに楽しめるミステリーだとは思いますよ。謎が謎を呼ぶ女の死体と、5人の男の交流を交差させながら進めていく展開は凝っているし、意外な犯人やラストに待っているもうひとつのどんでん返しも面白い。元映画しかり、ミステリーのわりにはもうちょっとダークさがあっても良かったんじゃないかとは思いますが、ミステリー映画好きならばそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。

　その昔「プリズン・ブレイク」シリーズで名を馳せたウェントワース・ミラーも見られたし、まあ悪くはないでしょう。もし本作を先に観たならば、ぜひ元ネタ『ロフト．』も観ていただきたいと思います。