「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。
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【あらすじ】
ある日、地球各地に大きな宇宙船のような物体が出現する。
言語学者のルイーズは、宇宙船から発せられる音や波動から彼らの言語を解明するよう協力を要請される。宇宙船の中に入り“ヘプタポッド”と名付けた宇宙人とあらゆる方法でコミュニケーションを図るルイーズ。研究を重ねていくうちにヘプタポッドの言葉を理解し始めたルイーズは、彼らが地球に来た目的を知る。
しかし、彼らを侵略とみなした中国らは、宇宙船に核攻撃をする準備を始めていた―
【コメント】
さて、今回は前々から劇場予告編で散々観てきた本作をチョイス。
予告編から見てもかなり興味をそそられる映画だったし、なんといっても監督が新進気鋭のドゥニ・ビルヌーブとあれば期待値はかなり高まります。最近のニュースじゃ、「UFOが“ばかうけ”にしか見えない」「そのとおり。“ばかうけ”を参考にしたのさ!HAHAHA!!!」なんて監督のやり取りがありましたが、それはそれで置いといて、とにかく面白そうだったんで、期待を胸にさっそく「MOVIX昭島」に足を運んだ次第です。
理系にはたまらない知的SFドラマ
うーむ、これはなかなかに見応えがあるSFドラマでしたな。『未知との遭遇』のような未知の知的生命体と人類とのコンタクトを実に緻密に描いていますね。とっても面白かったです。
もっとも、本作の評価は真っ二つに分かれるんじゃないかと思っています。『スター・ウォーズ』や『インデペンデンス・デイ』のような、派手な花火が上がるいかにもなアクション展開ではないので、興味のない人は退屈で眠気を覚えるかもしれません。これは、言語学者である主人公になりきって、言葉も何も通じない宇宙人とじっくりと腰を落ち着けてコミュニケーションしていき、彼らの真意を解明していくというところに面白さを感じ取るものです。かなり緻密に練られたシナリオなので、理屈っぽい人や理系人間にはたまらない知的なSFドラマだったと思いますね。
本作の宇宙人である通称ヘプタポッドが描く文字、一見して墨汁を丸く垂らしたかのような不規則な円を言語学者がどう解読していくのか、ヘプタポッドの目的は何か、解読した先に何があるのか。不気味でミステリアスな映像と音楽に合わせた雰囲気も最高で、クライマックスにはちょっとしたどんでん返しもあり、ハマる人は間違いなくハマるSFドラマです。
“ばかうけ”なんて言わせない!ドゥニ・ビルヌーブ監督の手腕
「親愛なる日本の皆さん、ご推察の通り宇宙船のデザインは“ばかうけ”に影響を受けた。本当だよ」なんてジョークも粋な本作の監督ドゥニ・ビルヌーブ。改めてこの監督の手腕は並外れているなと感じます。
2010年の『灼熱の魂』で一躍注目を浴び、それからは僕も大好きな2013年公開『プリズナーズ』、『複製された男』、そして昨年鑑賞の『ボーダーライン』と、コンセプトは作品によって全く違うものの、非常に丁寧で緻密、そして何より重くてミステリアスな映像が何とも言えない。まあ、『複製された男』はちょっと考え過ぎだと思いましたが。
とはいえ本作も同様、ドゥニ監督が作り出す映像はかなり目を引き付けどっぷりハマります。ハズレなしといっても過言ではない、今もっとも輝いている監督だと思いますね。
そんなドゥニ監督の次回作は、ついに禁断の伝説の続編に挑んだようで、それがあのSF映画の金字塔『ブレードランナー』の続編『ブレードランナー2049』なわけです。本作が吉と出るか凶と出るか、今年10月の公開が待ちきれませんね!
ネタバレ!UFOの真の目的とは・・・
そんなわけで、ここでもうネタバレしちゃいましょう。これから観る人は飛ばしてね。
UFOが地球の各国に複数同時上陸した目的。それは、知的生命体ヘプタポッドが3000年後に絶滅の危機に瀕した際に、地球の知的生命体である人類の力が必要であることを伝えること。しかし、そのためには人類のさらなる知的向上が必要であるため、ヘプタポッドは人類に“時間の概念”を教えに来た、というわけです。
ヘプタポッドには時間という概念がなく、過去・現在・未来は同じ次元に存在するもの、決して流れているものではないとしており、ゆえにこれから起こる未来のことも見ることができるため、将来的に起こりうる危機を察知できるとのこと。
とはいえ時間の概念をまだ知らない人類にそれを伝える手段として、ヘプタポッドが使っている言語を解読することで自然と身につくという。世界12か所に飛来したヘプタポッドの研究を総括することで、それが可能になる。政府の命を受け言語の解読研究に勤しんだルイーズは、いつの間にか時間の概念が身についていたというわけです。
冒頭で娘の成長と死を経験しているかのようにみえていたルイーズですが、実はこれ、これからルイーズが未来に経験するものだったんです。時間の概念が身についたルイーズだからこそ見えた未来の体験。これから辛いことを経験することになるが、先にそれを知ることで心構えができ、さらに強く生きることを決心する、ルイーズの心にも変化を及ぼす体験だったわけですね。
【2017年度 Myランキング】(5/21時点)
本作は、本年度のベスト10中8位(暫定)にランクイン。
暑くなってきたな。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
2位:愚行録 ★★★★
3位:帝一の國 ★★★★
5位:チア☆ダン ★★★★
6位:暗黒女子 ★★★★
7位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス ★★★★
8位:メッセージ ★★★☆
10位:ザ・コンサルタント ★★★☆
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:無限の住人 ★☆
2位:グレートウォール ★★
<その他ランク外一覧>
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