「Search サーチ」　★★★★～PC系映画のハードルを上げた秀作

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2018』の掲載にあたって」

PC系映画のハードルを上げた秀作★★★★

（2018年／アメリカ／102分／Searching） 【　監督　】アニーシュ・チャガンティ

【　出演　】ジョン・チョウ
デブラ・メッシング
ジョセフ・リー
ミシェル・ラー

【あらすじ】

　母親を病気で亡くすも、父デビッドと平凡な毎日を過ごす16歳の女子高生マーゴット。

　しかしある日、マーゴットが忽然と姿を消しデビッドは警察に通報、ヴィック捜査官とともに捜査が始まる。

　家出なのか誘拐なのかも分からないまま時間が経過していく中、デビッドはマーゴットが置いていったPCにログインし痕跡を操作する。

　インスタグラム、フェイスブック、ツイッター、様々なSNSにログインしていくと、自分が知らなかった娘の姿が浮き彫りになっていく―

【コメント】

　さて、今回は、会社にいる映画好きの後輩に「試写会で観たけど面白かったっすよ～」とお墨付きをもらった本作を鑑賞。かくいう僕もちょっと気になっていた作品であります。

　ちょっとこだわりが強い後輩がおススメするなら期待できるかもと、前日の体調不良をなんとか整えて「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。季節の変わり目は体調崩しやすいですな。

PC系映画のハードルを上げた秀作

　面白い！これは面白い！後輩の目は確かだった。これまでもPCをアイテムとして使った映画は数あれど、これほどリアルに使いこなした映画は本作が初めてではなかろうか。全編、PCの画面だけで進行していくストーリー、謎が謎を呼ぶスリリングな展開、FacebookやInstagramなど世界で利用されているSNSを駆使した謎解き、PC系映画のハードルを一気に上げた秀作と言っても過言ではないでしょう。非常に面白かったです！

　何も告げず行方不明になった娘を探し出す父親というシンプルなストーリーでありながらも、その父親が足しげく捜索するわけでも、銃を手に取ってドンパチするわけでもない。娘が唯一残していったPCを手掛かりに、PCやSNSへのログインから解読し、娘がSNSにアップした画像や動画、ネット上で関わった人物を洗い出し、父親が知らなかった娘の姿を知り真相にたどり着く。捜査のニュースや警察との連絡もすべてPC上で繰り広げられており、1本の映画ができるくらいPCは現在には欠かせないツールとなったことを実感しますね。

　展開するPCの機能を観ていても面白くて、WindowsXPでこんなことできたんだとか、日本ではまだあまりメジャーじゃないSNSなんかも登場したりして、ちょっとやってみようかなとも思わせたり。PCの機能やSNSを駆使しまくっている父親も凄いですが、そんな楽しみもある面白い映画でした。

アジアのパワーを感じる映画

　本作の特筆すべきポイントとしては、出演している俳優や本作の映画監督がインドや韓国のアジア系ということ。監督はインド出身で、父親デビッドと娘のマーゴット、父親の弟ピーターが韓国系アメリカ人。デビッド役のジョン・チョウは「スター・トレック」シリーズにも出演していましたね。

　アメリカ映画でありながら、主だったところはほぼアジア系で占められている。ハリウッドにもアジアのパワーが発揮されてきていることを感じる映画でもありましたね。

SNSは使いよう

　21世紀の新たなコミュニケーションツールとして、今や世界の人間が利用し使いこなしているSNS。便利で楽しい、世界中の人たちと友達になれるし、繋がることができる。その反面、ネカマやなりすましで自身を偽ることも可能であり、さもすれば犯罪にもつながることもあるアイテムであるため、うかつに信用できない部分も多々ありますね。

　本作でも、父親の知らなかった娘の素顔があらわになるという一面もあるし、いいね！欲しさフォロワー欲しさのために嘘偽りも平気でやってしまうユーチューバーたちが映し出されていますね。まさに現代が抱える社会問題ということでしょう。

　僕はめんどくさがりなので、FacebookもTwitterも使いこなしておりませんが、度を超してハマってしまうのもいかがなものかと感じます。SNSは使いようによって毒にも薬にもなるツールということですね。