「見えない目撃者」 ★★★～オーソドックスだが雰囲気で楽しめる

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2019』の掲載にあたって」

オーソドックスだが雰囲気で楽しめる★★★

（2019年／日本／129分） 【　脚本・監督　】森淳一【　出演　】吉岡里帆高杉真宙大倉孝二浅香航大酒向芳松大航也國村隼渡辺大知栁俊太郎松田美由紀田口トモロヲ

【あらすじ】

　優秀な警察官として将来を嘱望されていた浜中なつめは、ちょっとした不注意で交通事故を引き起こしてしまい、自分の視力と最愛の弟を失ってしまう。た浜中なつめ。

　失意のまま細々と生活していたなつめは、ある日、車の接触事故に遭遇する。その車の中から若い女性の助けを求める声を聴いたなつめは誘拐事件と確信し、すぐさま警察に訴えるが、なかなか聞き入れてもらえない。

　接触事故にあった高校生の春馬とともに、女性の行方を追うなつめ。最初は非協力的だった春馬も命を狙われるようになり手を貸すことに。そして、二人が追跡した先には意外な犯人像が浮かび上がってきた―

【コメント】

　ちょいと病院に行くため、半休を取った金曜日の午後。ことのほか早く終わったので、こりゃあ映画観に行くしかねーだろ！と、当初から目を付けていた本作を鑑賞。

　本作は、2011年の韓国映画『ブラインド』の日本版リメイク。しまった、元ネタ観てねーや、と後で気づくも、まあそこはいっかと、「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　うむ、なかなかに面白かったです。オーソドックスな展開ながらもサスペンスフルな重い雰囲気が良い感じの映画でしたね。まあ、細かいツッコみどころはいろいろとあるんですが、うまく空気感を作っているので楽しんでみることができましたね。

　細かいツッコミを入れるとすれば、主人公のなつめがどうしても盲目には見えない。絶対見えてるだろこいつと。これはぶっちゃけ吉岡里帆の演技不足というほかない。しかし可愛いから許す！それと、やっぱり犯人が“頭おかしい猟奇殺人鬼”という安直な設定。昨年観た『スマホを落としただけなのに』もそうだったし、最近は日テレの連続ドラマ「あなたの番です」でも、半年見せられたドラマの犯人が単なる“人殺し好き”というサイコパス設定が物議をかもしたし。

　とにかく、本作を観て率直に感じたのがそのことで、この手のサスペンスものの犯人像が猟奇殺人鬼という設定のなんと多いことか。まあ人殺しに理由がいらないわけだし、サクサクと人を殺してくれる。本作の六根清浄のようなオカルトじみた設定をスパイスにすりゃあさらにおどろおどろしくなってエグさグロさも増す。この猟奇殺人鬼設定はいわばトランプのジョーカーみたいなもんで、殺人という行為に理由がない分犯人像として使いやすいのだろうけど、こうも乱発されると「もうちょっとシナリオ考えろや」とツッコミも入れたくなるところです。