「竜とそばかすの姫」　★★★～映像と歌は最高

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

映像と歌は最高★★★

【あらすじ】

　全世界50億人が利用する仮想世界“U（ユー）”。Uでは、“ベル”という名のアバターの曲と歌声が世界を魅了していた。

　彼女の正体は、高知県の自然豊かな田舎町に住む17歳の女子高生すず。彼女は幼い頃に母を事故で亡くし、現実の世界で心を閉ざしていた。

　ある時、彼女の前にUの世界で恐れられている竜の姿をしたアバターが現れる。Uの秩序を乱す存在に世界は戦々恐々としていたが、ベルは竜と交流していくうちに心が通じ合うようになっていく―

【コメント】

　さて、今回劇場で鑑賞したのは、お待たせアニメーション界のヒットメーカー細田守監督の待望の新作。2018年の『未来のミライ』から3年振りの新作ということで、お待ちかねのファンも多いことでしょう。

　しかしながら、前作の『未来のミライ』がぶっちゃけビミョーな作品だったので、本作が起死回生の作品となるかが僕のひとつの視点となっておりました。予告から見るにかなりの力作と感じたので、一路「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

　いやさすがの細田作品、全回満席の超満員。パンフレットも売り切れ・入荷未定という人気ぶりです。

　ふむ、なるほど。前作『未来のミライ』の汚名挽回？となったか、壮大なバーチャル世界と片田舎のリアル現実を交差させて展開するスケールの大きなアニメーション。細田守節が全開の見応え十分なアニメーション映画でしたね。大スケールの美しい映像と透明感あふれる歌が最高です。

　本作で登場する“U（ユー）”というバーチャル世界、イヤホンみたいなアイテムを人間の感覚とリンクさせ、ネット上の世界のアバターの一人として入り込むという設定は、現在の技術にはまだないものの、近いうちにそんな世界が本当に来るんじゃないかという感じがします。心を閉ざした片田舎に住む一人の少女がUの世界で歌姫となり一躍大スターになる。同じくUの世界で大暴れする竜との交流、淡い恋心もあったのかもしれない、その出会いによって、互いに閉ざした心を開いていき、リアルな現実でも心を開いていく。

　まあでも、正直言ってしまうと割と想定どおりの展開だったというか、細田守監督の出世作となった『サマーウォーズ』のようなスリリングな展開を意識したのかもしれませんが、残念ながらそれには及ばずといったところ。ベルと竜との交流シーンが、まんまディズニーの『美女と野獣』だったのはオマージュだったんでしょうかね。ともあれ、夏に見るアニメとしては全然見応えはありますが、意外と入ってこなかったな～というのが正直な感想です。

　そんなわけで、これまでファンタジックなドラマに偏っていた細田守作品が今回スケールの大きな作品を生み出したというだけでも良しとしたいところ。映像も美しいし、ウィスパーで透明感のある歌声は聴き応え十分。サントラが欲しいなと思ったくらい。何だったら、本作はベルのミュージックビデオだと言っても過言じゃないでしょうね。

【2021年度 Myランキング】（7/25時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　俺、フェイスケアに目覚める。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ファーザー ★★★★★

　　２位：すばらしき世界 ★★★★

　　３位：ヤクザと家族 The Family ★★★★

　　４位：Mr.ノーバディ ★★★★

　　５位：ガンズ・アキンボ ★★★★

　　６位：ラスト・フル・メジャー知られざる英雄の真実　★★★★

　　７位：映画賭ケグルイ絶体絶命ロシアンルーレット ★★★★

　　８位：哀愁しんでれら ★★★☆