「キネマの神様」　★★★☆～やっぱり志村けんで観たかった

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

やっぱり志村けんで観たかった★★★☆Image may be NSFW.
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沢田研二

菅田将暉

永野芽郁

野田洋次郎

北川景子

寺島しのぶ

小林稔侍

宮本信子

リリー・フランキー

志尊淳

原田泰造

片桐はいり

【あらすじ】

　酒浸りでギャンブル漬けのダメ老人ゴウ。闇金にも手を出し借金取りに追われ、妻や娘にも迷惑をかける日々を過ごしていた。

　若かりしゴウは映画監督を目指して撮影現場で働く、美人女優の園子や撮影所近くの食堂の娘・淑子、仲間の映写技師テラシンとともに映画への夢を熱く語らっていた。

　そしてついにゴウの初監督作「キネマの神様」が撮影初日を迎えるも、転落事故で大ケガを負い撮影は頓挫、挫折を味わったゴウは夢をあきらめ田舎へと帰ってしまう。

　それから約50年、かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本が甥っ子の目に留まったことで、ゴウの夢が再び動き始める―

【コメント】

　日本の唯一無二のコメディアン、志村けんが新型コロナで亡くなって早や1年4か月。僕の志村けんへの想いは「永遠のお笑いヒーロー、志村けん」にて本ブログにて綴っていますが、未だ収まりを見せない新型コロナの中、志村けんの死を乗り越え完成した作品が、今回鑑賞した作品『キネマの神様』です。

　映画ファンならずともご存じのとおり、2020年は“俳優・志村けん”としての活動が本格化するはずだった年で、本作も志村けんの映画初主演作として大注目されていた作品。残念ながら志半ばで亡くなってしまい、映画も頓挫するかに見えましたが、旧知の親友である沢田研二が志村けんの遺志を継ぎ代役として主演ということで再始動、苦難を乗り越えての完成に漕ぎつけたわけです。

　僕のお笑いヒーロー・志村けんの遺志が込められた本作、これを劇場で観ないわけにはいかんだろうと、さっそく「立川シネマシティ」足を運んだ次第です。

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　うん、良かったです。山田洋次監督らしい、優しくて暖かくちょっとほろ苦いドラマ。酒浸りでギャンブル依存で迷惑かけまくりのダメダメな老年時代と、映画にすべてを注いだ青春時代を交差させながら、映画への熱い想いと、夢を叶えることに年齢は関係ないんだという山田洋次監督のメッセージが伝わってきますね。新型コロナの影響で大打撃を受けてしまった映画界へのエールも込められていたと思います。

　亡くなった志村けんの代役として主演した沢田研二のダメっぷりも実によかったし、宮本信子や寺島しのぶ、小林稔侍の大御所しかり、菅田将暉、永野芽郁、北川景子、野田洋次郎の若手たちもとても良かった。悪い人間が誰もいない、皆優しく温かいキャラばかりで心が癒されましたね。ただ、叶わぬことであったとはいえ、やっぱり僕は志村けんのゴウが観たかった、これに尽きます。さすがにこれはどうしようもないこと、新型コロナを恨むしかありません。

　作品の内容についても言いたいことが無かったわけではありません。山田洋次監督の作品はたくさん観ているので僕の所感なんですが、「男はつらいよ」シリーズをはじめとした一連の作品には、一貫して人間って素晴らしい生きるって素晴らしい、という雄大なテーマを持つある意味優しさのスケールの大きさがあるわけですが、本作はなんかこじんまりとしているというか、山田洋次監督のなかでは小粒な印象を持ちました。何がそう感じさせたのは分かりません。これが仮に沢田研二ではなく志村けんだったら変わっていたのか、それも何とも言えないところ。志村けんの追討を込めて甘めな評価をしましたが、作品としてはもっとほしかったところです。

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