「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。
これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。
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エミリア・ジョーンズ
エウヘニオ・デルベス
トロイ・コッツァー
フェルディア・ウォルシュ=ピーロ
ダニエル・デュラント
マーリー・マトリン
【あらすじ】
海の町で聴覚障害を持つ両親と兄と暮らしてい高校生のルビーは、家族の中で1人だけ耳が聞こえ、幼い頃から家族の耳となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、合唱クラブに入部したルビーに歌の才能があると気づいた顧問の先生はルビーを個別指導、音大への進学を強く進めるが、歌声が聞こえない両親は家業の方が大事だと猛反対する。
家族のために生きるか、自分のために生きるか。ルビーの心は揺らぐ―
【コメント】
さて、今回劇場で鑑賞したのは、巷で絶賛され数々の映画賞を受賞、今年度の米アカデミー賞でも作品賞にノミネートされている本作。
日本では1/21に劇場公開されており、ネットでも観た人たちからの絶賛の評価が数多くある作品ですが、いつか観よういつか観ようと思いつつズルズルとペンディングしてしまっていて、やっとこさ鑑賞のタイミングを得られたので「立川キノシネマ」に足を運んだ次第です。
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(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
うむ、とても良い映画。聾啞の家族のために人生を捧げるか、自分が大好きな歌の夢を追うかで揺れ動くしっかり者の女子高生の心の揺れ動きをユーモラスに描いた、家族の愛や絆に満ちた素敵な物語です。聴覚障害を持つ人たちやそれを支えるコーダ(=Children of Deaf Adult、聾唖の親をもつ聾唖ではない子供)の辛さといった暗い内容ではなく、聴覚障害なんて微塵も感じず生き生きと人生を謳歌している愉快な人たちばかり、他の登場人物も優しい人たちばかりで、毒気のない本当に愛に満ちた映画なので、観る者を幸せにしてくれること間違いなしのとても安心して観ていられる作品です。巷の絶賛の嵐も納得の作品。でもね、僕は正直、この手の毒気のない、優しく愛に満ちた映画がどうも苦手です。とても良い映画であることは間違いありませんが、僕の趣味趣向で感想を述べるとこうなってしまいます。
これはもうしょうがない。決して作品自体を否定しているわけではなく、その人の映画の好き嫌いの範疇なので。聾唖なんて跳ねのけるような父ちゃん母ちゃんの自由奔放な生き方は笑えるし、妹の人生を真剣に考えてあげる兄ちゃんも素晴らしい。歌のコーチもユーモラスだし、ルビーの突き抜けるような歌声に心奪われた人たちも多いはず。クライマックスの入学試験での歌や、ラストで家族たちが抱き合うシーンは本作のハイライトで感動必至の最高のシーンです。
ただやっぱり、周りの人たち含めて全員が良い人たちばかりだとどうもね、「世の中そんなに良い奴ばかりじゃねーぞ」と思っちゃうんです、僕は。平気で人を傷つける奴、自分中心でしか物事を考えられない奴、他人がどうなろうと知ったこっちゃない無関心な奴、そんな奴らが至る所に入り混じって人間社会は成り立っているわけで、そういた毒気のあるキャラが登場することで、よりリアルなストーリーとして入り込む気分になれるんですね、僕は。
良い映画であることは間違いないですが、これだけ優しい人間たちが集まると逆にファンタジーに見えてしまって入り込めなかったというのが僕の正直な感想です。
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(C)2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
ところで、そろそろ米アカデミー賞の話題がぼちぼちと報道されておりますな。本作も作品賞有力候補としてノミネートされておりますが、他にもスピルバーグの『ウェスト・サイド・ストーリー』やNetflix発の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』、SF超大作の『DUNE 砂の惑星』、日本から『ドライブ・マイ・カー』といった強豪が立ちはだかっております。
昨今の世界的な人権・差別の空気からすると、もしかしたら本作が受賞するかもしれませんね。ともあれ、3/28の発表が楽しみです。
【2022年度 Myランキング】(2/13時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
仕事絶賛トラブル中。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
2位:さがす ★★★★
6位:
7位:
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
2位:
3位:
<その他ランク外一覧>
ノイズバイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ嘘喰いコーダ あいのうた
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