「マークスマン」　★★★～哀愁のリーアム・ニーソン

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2022』の掲載にあたって」

哀愁のリーアム・ニーソン★★★

リーアム・ニーソン

キャサリン・ウィニック

フアン・パブロ・ラバ

テレサ・ルイス

ジェイコブ・ペレス

【あらすじ】

　妻に先立たれ、メキシコ国境付近の町で牧場を営みながら愛犬と暮らしている元海兵隊の狙撃兵ジム・ハンソン。

　ある日、ジムはメキシコの麻薬カルテルに追われ国境を越えてきたメキシコ人親子と出くわす。母親が追手の銃弾に倒れ、死ぬ間際に11歳の息子ミゲルをシカゴに住む親類のもとに送り届けてほしいと託される。

　対立しながらもシカゴに向かう2人。そこにカルテルの追手が立ちはだかる―

【コメント】

　今回はちょっと趣向を変えての映画鑑賞。というのも、翌日の人間ドックに備え、医療センター近くのホテルに贅沢にも一泊しようと。だってドック当日に朝早くに何も食べてない状態で満員電車乗りたくないじゃん。

　とはいえ、前日に豪華な食事ができるわけでもなく、ここはホテルでおとなしく篭ってTVでも観ようかなと思っていたところ、ホテルのVOD（ビデオオンデマンド）が無料じゃああーりませんかと。さっそくなんかねーかな（AV含む）と物色していたところ見つけたのが本作であります。

　老齢でありながらすっかりアクションスターしてしまっているご存じリーアム・ニーソン御大のこれまたアクション作品で、劇場公開も記憶にあるようなないようなという作品ですが、どうせやることないしとVODを大いに活用させていただいた次第です。

　ほほう、これはちょっと意外。いつものリーアム無双系のアクションだと思っていたら違った。確かに元海兵隊の凄腕スナイパーといういかにも無双しそうな肩書はあるものの、どちらかといえば生きがいを失いひとり孤独に暮らす一老人という位置づけのほうが強く、哀愁漂うリーアム・ニーソンが堪能できる作品となっています。愛する妻に先立たれた哀しみ、ぶっきらぼうながらも心を通わせる少年との絆、往年の兵士としてのスキルをいかんなく発揮する雄姿、そしてラストに待つ滅びの美学。これまでの強いだけのリーアム・ニーソンではない、奥深い側面を持ったキャラでしたね。面白かったです。

　本作はアクション映画としての体は持っているものの、決して派手なものではなく、主人公のパーソナルに迫ったところや、少年との絆を深めるロード―ムービーとしての側面のほうが強い。なぜそうなったかと言えば、監督であるロバート・ローレンツの趣向が大いに発揮されているんだと思いますね。長らくクリント・イーストウッド御大のもとで修業を重ねてきただけあって、かなり影響されている部分が多い。主人公をクリント・イーストウッドに変えたとしても違和感がないくらい、御大の作風から影響を受けているですね。そういったところが、本作が一味違う味を出していたところだと思います。