「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。
これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

ポール・ダノ
セス・ローゲン
ガブリエル・ラベル
ジャド・ハーシュ
ジュリア・バターズ
デビッド・リンチ
【あらすじ】
第2次世界大戦直後のアメリカ。
両親に初めて映画館に連れられ『地上最大のショウ』を観て以来、映画に夢中になった少年サミー・フェイブルマンは、母親から8ミリカメラをプレゼントされてからというもの、家族や仲間たちと映画製作にのめり込んでいく。
父親の仕事による引っ越しや学校でのいじめ、母親の不倫などを通し、サミーは葛藤しながらも成長していく―
【コメント】
今年の米アカデミー作品賞は『エブエブ』ですかそうですか。とにかくぶっ飛んだ作品なので賛否はあるものの、個人的には嬉しい限りです。
そんな中で、同じく作品賞にノミネートされていたのが、映画界のレジェンドオブレジェンド、もはや知らぬものなどいないスティーブン・スピルバーグ監督による本作。スピルバーグの自伝的な作品ということで、如何にしてスピルバーグたる巨匠が形成されていったのかというドラマ作品ですね。
きしくも日本では『エブエブ』と同時公開だったので、続けてみて見比べてみようと思っていたのですが、体調不良により1週遅れでの鑑賞と相成りました。ということで、一路「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。
(C)2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.
この手のドラマ作品はハマらないとものすごく退屈になってしまうのでちょっと気合が必要なんですが、そこはさすがのスピルバーグ作品。大袈裟な演出なく淡々としたドラマでありながらも、2時間半まったく退屈させず引き込んでいく手腕はさすがの一言です。スピルバーグ御大の自伝的作品、じっくり堪能させていただきました。
そんな僕が、本作で感じたポイントは以下の3つ。
1.スピルバーグ青年の青春ドラマ(サクセスストーリーではない)
2.クリエイターはクリエイティブな環境で育つ
3.ラストシーンのその後が観たい
本作は、タイトル『フェイブルマン“ズ”』の名のとおり、主人公サミー青年を中心としたフェイブルマン家の家族の物語です。青年サミーの映画との出会い、仲間たちと映画作りに没頭する青春時代のなかで、父親の転勤や転校先でのいじめ、母親の不倫、ファーストラブなど、多感な成長期において様々な体験をしながら少しずつ成長いく姿が描かれています。
言わばヤング・スピルバーグの物語なので、その名を知らしめることとなったTV映画『激突!』や傑作中の傑作『ジョーズ』やSF『未知との遭遇』といった作品で出世していく感じのサクセスストーリーではないです。
僕が本作で感じたことは、やっぱり映画監督などのクリエイターって幼い頃からその資質を兼ね備えているということですね。そんな先天的な才能に加えて、クリエイティブな環境が揃っていたところも大きいです。
コンピュータ製作という当時まだ未知の領域であった業界に従事している父親も十分にクリエイターだし、サミー青年の映画製作に没頭する姿勢を決して否定せず応援する家族や、映画製作に協力する仲間たちがいたりするのも、とにかくすべて環境が揃っているんですよね。まさに映画監督になるべくしてなった人物だと思いますよ、スピルバーグ御大は。
(C)2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.
一度は映画製作を諦めたサミー青年ですが、自分の作った作品を周りの人間が評価してくれている状況や、ラストシーンで当時の巨匠であるジョン・フォード監督との出会いが大きく運命を変えることになります。
運命って面白い。才能と努力を運命は放っておかない。本当は映画作りたいんだろ?拒んでいてもお見通しだよと言わんばかりに、たったひとつの大きな出会いで進むべき道を矯正してくれるんですから。
スティーブン・スピルバーグ、まさに映画製作という運命のもとに生まれた存在であることが本作を通して分かる作品でしたね。
【2023年度 Myランキング】(3/12時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
唾液腺ようやく元通り。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆
3位:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ★★★☆
4位:非常宣言 ★★★☆
7位:#マンホール ★★★☆
8位:
9位:
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
1位:
2位:
3位:
<その他ランク外一覧>
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