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「生きる LIVING」★★★~良い映画だがオリジナルには及ばず

※※※ 注意 ※※※

 「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

 これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

『シネマ報告書2023』の掲載にあたって

 
良い映画だがオリジナルには及ばず
★★★
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(C)Number 9 Films Living Limited
 
(2022年/イギリス/103/Living
 
【 監督 】
オリバー・ハーマナス
 
【 原作 】
黒澤明
橋本忍
小国英雄
 
【 脚本 】
カズオ・イシグロ
 
【 出演 】
ビル・ナイ

エイミー・ルー・ウッド

アレックス・シャープ

トム・バーク

 

 

【あらすじ】

 

 1953年、第2次世界大戦後のイギリス・ロンドン。

 仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、医師からガンを告げられ余命半年と宣告される。残された命の中で悔いのない人生を過ごそうと、ウィリアムズは仕事を放棄し行ったことのない場所で酒を浴びるほど飲むが、仕事一筋の人生で遊び方を知らないウィリアムズにとって心が満たされるものではなかった。

 そんな中で、天真爛漫なかつての部下マーガレットと再会したことで、今の自分に出来ることをすることを決意、仕事に復帰し棚上げにしていた小さな公園作りに全力を尽くす―

 

 

【コメント】

 

 年度末の残業地獄もなんとか乗り切り、ホッと一息の週末。弊社では新年度から久しぶりにフレッシュな新入社員が入ってくるということで年度初めも忙しくなるなーと感じている今日この頃でありますが、新年度を前にこれは泣けそうだぞと目を付けていた本作を鑑賞。

 本作は、名匠・黒澤明監督の名作中の名作『生きる』をイギリスに舞台を変えてリメイクしたもので、世界の映画賞で受賞・ノミネートされ話題となった作品。僕がオリジナルである『生きる』を鑑賞したのはだいぶ昔ですがとても印象に残る作品だったので、本作がどのようにリメイクされているのかという興味もあり、一路「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。

 

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(C)Number 9 Films Living Limited

 

 うん、良い映画、とても良いリメイクでした。オリジナルの良さを損なわず、ストーリーもほぼほぼオリジナルに沿ったものですが、舞台がイギリスになっても違和感は全くない。名シーンの、雪の中ブランコに揺られ歌を口ずさんで死んでいく場面もほぼほぼ完コピ。とても丁寧でオリジナルにリスペクトを感じさせる作品だったと思います。

 とはいえ、個人的な感想を申すとすれば、やっぱりオリジナルである黒澤明版に面白さは及ばず、とったところでしょうか。いや、良い映画なのは確かですけどね、「お前が弱いんじゃねえ、俺が強すぎるんだ」なんです。とにかく黒澤明版が良すぎるんです。それは作り手も重々承知していただろうし、それでも果敢に挑んで完成度の高い作品に仕上げたのは凄いことだと思いますよ。

 そんな僕が本作を鑑賞して感じたことは以下の3つです。

 

1.良い映画だがオリジナルには及ばず

2.とはいえビル・ナイの枯れた存在感は素晴らしい

3.黒澤明のオリジナル版をぜひ観てほしい

 

 オリジナルの良さって志村喬のブランコの名シーンもそうだし、タイトルの「生きる」という世界に通じるテーマを持つヒューマンドラマとして秀逸な作品なんですが、その一方で“お役所仕事”という痛烈な風刺が効いてるからこその名作なんですよね。棚上げ、たらい回し、縦割り、杓子定規な事務、手柄の取り合い。住民の不満や困り事に耳を傾け柔軟に対応しなくてはならないはずの市役所の固すぎる頭に如何なものかと物申しているからこそ、観客からの共感が得られヒット名作として語り継がれているんだと思います。

 もちろん本作でもそのくだりは丁寧に描写されていますが、方向性としてはお役所仕事に対する風刺よりも、ただただ単純にお涙頂戴の感動路線に走っちゃっているなーと僕は感じちゃったんですよね。お役所仕事ってイギリスでもあるんでしょうかね。

 

 とはいえ、主演であるビル・ナイの余命いくばくもない枯れに枯れ切った初老の公務員ぶりは脱帽の一言。哀愁漂うブランコのシーンも素晴らしいし、志村喬に負けず劣らずの存在感を発揮していたと思いますよ。アカデミー賞の主演男優賞にもノミネートされたくらいですからね、名優と言っても過言ではありません。

 

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(C)Number 9 Films Living Limited

 

 そんなわけで、良い映画だし心打たれる人も多いと思いますが、るお役所仕事に対する風刺を効かせた黒澤明のオリジナル版と比較すると、良い映画というだけで終わっちゃったかなーという感想です。

 本作を観て黒澤明版に興味を持った人はぜひとも鑑賞してもらいたいです。1952年のモノクロでだいぶ古い日本映画ですが、今観ても全く見劣りしない、今も昔もお役所仕事は変わらねーなという風刺に考えさせられること請け合いです。

 日本映画の名作中の名作なので、古い映画だからと敬遠せずに観てもらいたいですね。そうすれば本作の見方も変わってくると思います。

 

 

【2023年度 Myランキング】(4/1時点)

 

 本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

 久々のフレッシュな新入社員。 

 

(ベスト)… ★★★☆以上が基準

 

  1位:エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ★★★★☆

  2位:ロストケア ★★★★

  3位:シン・仮面ライダー ★★★★

  4位:アントマン&ワスプ クアントマニア ★★★☆

  5位:パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ★★★☆

  6位:非常宣言 ★★★☆

  7位:BLUE GIANT ★★★☆

  8位:バイオレント・ナイト ★★★☆

  9位:#マンホール ★★★☆

 10位:

 次点:

     

     

     

 

 (ワースト)… ★★☆以下が基準

 

  1位:

  2位:

  3位:

 

<その他ランク外一覧>

映画 イチケイのカラスカンフースタントマン 龍虎武師キラーカブトガニルパン三世VSキャッツ・アイ(未)スランバー・パーティー大虐殺FALL フォールシャイロックの子供たち湯道別れる決心ミッドナイト・マーダー・ライブフェイブルマンズシャザム!神々の怒りマッシブ・タレントエスター ファースト・キル生きる LIVING

 


 
 
『生きる LIVING』の公式サイトはこちら

 

 

 

 

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