「MEMORY メモリー」★★★～アルツハイマーはそんな感じじゃない

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2023』の掲載にあたって」

ガイ・ピアース

モニカ・ベルッチ

タジ・アトウォル

レイ・フィアロン

ハロルド・トレス

【あらすじ】

　完璧に仕事を遂行する凄腕の殺し屋アレックス。しかし彼は、アルツハイマー病の発症により記憶があいまいになり苦しんでいた。

　そんな中でアレックスは引き受けた仕事を遂行するが、ターゲットが少女であることを知る。子供をターゲットにしないことを信条としていたアレックスは、自の調査を進め、やがて財閥や大富豪を顧客とする巨大な人身売買組織の存在を突き止め戦いを挑む―

【コメント】

　さて、2023年総ざらいの時期となった今日この頃。年内にこれだけは観ておこうと、いろいろと作品を物色しているところですが、そんな中で今回TSUTAYA DISCASでお取り寄せしたのがこれ。ご存じ、老年アクションスター、リーアム・ニーソン御大の新作です。

　本作は5月に劇場公開されておりますが、昨今のリーアム・ニーソン御大は作品を選ばないB級のアクションばっかり出てるような気がして、どうにも触手が伸びないんですよねー。

　まあそんな中でも、アルツハイマー認知症を発症した殺し屋という設定が面白そうだと感じたのでレンタルしてみた次第です。

　うん、まあ思ったとおり低予算のB級アクションでしたね。さすがにアクション映画を連発しているだけに、御大のアクションはサマになっているし話も悪くはないんですけどね、リーアム・ニーソンとガイ・ピアースという名の知れたアクターが出演している割に全体的に地味めな印象があるし、派手なアクションもない。それよりも、ウリのはずのアルツハイマーの殺し屋という設定が全く生かされていないのが非常に残念でしたかね。

　そんな僕が感じた本作の感想は以下の3つです。

１．アルツハイマーはそんな感じじゃない

２．ラスト展開でかろうじて評価

３．がんばれリーアム・ニーソン

　別にリアルを求めているわけではないし、所詮は映画なので細かい部分は目をつぶるとしても、そもそもアルツハイマー型認知症に対する理解があまりにもなさすぎるなーと。要するに調査不足ですね。人の名前を忘れたり、何かをやろうかとして、あれ何しようとしたっけ？と忘れてしまったりというのは老齢になると誰にでも起こる老化現象なわけで、それがイコール認知症というわけではないんです。自分が行動したことが記憶からすっぽりと抜けてしまったり、感情の起伏が激しくなったりするのが認知症の主たる症状で、そういった典型的な症状が本作の主人公には全く見られない。というか、めちゃめちゃ落ち着いているしよく記憶しているし機敏に行動するしで、本当に認知症患ってんのかよと思うくらい。殺した人間をまた殺しに行くとか、敵地に赴いている最中にあれここどこだ？となってピンチになるとか、もっと展開として面白く出来ただろうになーと。

　かろうじて、ラストはおーそうくるかという意外な展開だったので評価はできますが、いたってフツーのアクションになっていてせっかくの設定が非常にもったいない。もう少しシナリオを練ってほしかったところです。