オール・ユー・ニード・イズ・キル　（評価：★★★☆）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2014』の掲載にあたって」

僕の人生観そのもの

★★★☆

（2014年／アメリカ／113分／Edge of Tomorrow）

【　監督　】
ダグ・リーマン

【　原作　】
桜坂洋

【　出演　】
トム・クルーズ
エミリー・ブラント
ビル・パクストン
ブレンダン・グリーソン
ノア・テイラー
ジョナス・アームストロング

【あらすじ】

　謎の侵略者との攻防戦を繰り広げている近未来の地球。
　広報部のウィリアム・ケイジ少佐は、上層部の命令により強引に一兵士として最前線に送り込まれるものの、あえなく戦死する。
　しかし、目覚めるとなぜか出撃前に時間が戻っており、それが何度も繰り返される。そのうち、特殊部隊の英雄リタ・ヴラタスキが彼と同様に“タイムループ”に巻き込まれていることを知り、ケイジリタとともに戦闘技術を磨いていき、タイムループから抜け出す糸口を探る―

【コメント】

　僕はトム・クルーズの映画を観ると、毎度「自分をカッコよく見せるための映画」と小馬鹿にしたような言いぐさをしておりますが、なんだかんだ言ってもトム・クルーズのチョイスする映画は面白いです。
　センスがいいよね！なんて上から目線で言う気はありませんが、やっぱりトムの「このストーリーはイケる！」といったプロデュースセンスは抜群だと思います。ストーリーは練り込まれているし、自分の見せ方は分かっているし、何よりエンタテイメントしてる。映画人としての観客の楽しませ方を分かっているんですね。
　そんな彼が、今度は日本のラノベをチョイスしてきたんですから、日本人としては期待は高まるばかり。予告編からしてもこりゃ面白そうだと、さっそく劇場に足を運んで鑑賞した次第です。

　うむ、相変わらず面白いです、トム作品。
　ラノベとはいえ、ハリウッド資本で製作されるとこんなにもダイナミックで迫力ある映像に仕上げてくれるのかと感心するとともに、おそらくラノベでは常套手段なネタだと思われるタイムループの概念をピックアップしたのも面白い。タイムマシンネタは腐るほどありますけどね、同じ時間を延々と繰り返すという設定は、向うでは意外と新鮮に映るのではなかろうかと。テンポもいいし、ワクワクさせるし、SFエンタテイメントとして十分に楽しめる作品です、はい。
　加えて本作から感じることは、「人生は何度も繰り返してレベルアップしていくもの」ということなんです。本作は1日を何百何千と繰り返して自身をレベルアップさせていくお話ですが、人生もまさにそうなのではないかと思うんです。
　仮に自分が死んでも、次はまた同じ自分として生まれる。そして前とはちょっと違う生き方をする。死ぬ。また同じ自分に生まれる。また違う生き方をする・・・同じ自分を繰り返しさまざまな人生経験をすることで、潜在的なレベルが高まっていく。要するに、本作は僕の人生観そのものなんです。
　まあ、こうなっちゃうと宗教的な話になってしまうのでここら辺で止めときます。