「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

【あらすじ】
学校で“リトル”というあだ名のいじめられっ子シャロン。彼が唯一心を開くのは、麻薬ディーラーのフアンとその恋人テレサ、そして唯一の友達のケヴィンだけだった。
高校に進学してもシャロンが相変わらず同級生にいじめられる毎日を送り、母親のポーラは麻薬に溺れていた。何もかもがイヤになったシャロンの前にケヴィンが現れ、月明かりが輝く夜、2人は初めてお互いの心に触れる。
そして大人になり、麻薬ディーラーとしてのし上がったシャロン。彼は再びケヴィンと再会する―
【コメント】
さて、今回は見事今年度の米アカデミー作品賞を受賞した本作を鑑賞。
発表の時にまさかの『ラ・ラ・ランド』との発表ミスがあったのは記憶に新しいところですが、前哨戦で有利だった『ラ・ラ・ランド』を押しのけての受賞である本作はどんなものかと、さっそく「立川シネマシティ」に足を運んだ次第です。
(C)2016 A24 Distribution, LLC
相変わらず受賞ポイントが分からない・・・
うーむ・・・分からん。相変わらず、米アカデミー作品賞というのは受賞したポイントが分かりませんな。アカデミー会員たちは、本作をどう観たのか。どこが“2016年のアメリカを象徴する映画”にふさわしいところだったのか。作品賞受賞という売りを度外視して、本作が面白かったかどうかという部分でいけば、淡々としたストーリーで大した展開はないながらもどこか目を引いてしまう不思議な魅力を持った作品ではあったと思います。
登場人物はすべて黒人、主人公はスラム街育ち、家庭環境も悪く、いじめられっ子でゲイ。そういったディテールの中、主人公シャロンを少年期・青年期・成人期の3ストーリーで構成し、過酷な人生の中、どういった人生を歩み、どういった“目覚め”があったのかを淡々と描いています。
この、一見何でもない一人の不幸な半生から何を感じ取るか、この作品の奥に潜むテーマは何だったのか。少なくとも、そういった考えを張り巡らしてじっくりと味わう映画であることは間違いないです。
主人公シャロンの変わり具合
先に書いたとおり、主人公シャロンの少年期(リトル)・青年期(シャロン)・成人期(ブラック)の3ストーリーで物語が進行していくんですが、成長していく主人公の変わり具合が見ていて面白いです。
リトルと蔑まれ誰とも口を利かない内気な少年から、いじめられっ子から脱したい、一人の人間シャロンとして扱われたいという成長が見られた青年期、そしてブラックとしてコワモテでゴリゴリのマッチョに変革した成人期。ブラックの章の変わり具合は凄かったですね。別人かと思ったくらい。
俺は人間だ!変わりたい!そういったシャロンの叫びが、静かな展開からも聞こえてきそうでしたね。
“マイノリティ”の中の“マイノリティ”という苦悩
本作から感じたテーマ、僕なりの解釈ですが、いわゆる“マイノリティ”と呼ばれる人たちの中でも、さらに虐げられて生きている“マイノリティ”中の“マイノリティ”の苦悩を描き出したんじゃないかなと。
かつて黒人は人種差別の対象とされていて、実は今でもそれが根強く残っていたりするし、そこにスラム街の貧困層育ちという格差、そんな中でさらに同類に苛めの対象となる人間、そしてまだまだ理解が足りないゲイという存在。そんなマイノリティのミルフィーユ状態で生きる人間の苦悩を感じ取る、これが本作の見方なのではないかと。
本作は、純粋なゲイのラブストーリーとして観てもいいかもしれません。しかしながら、日本ではなかなか理解が難しいマイノリティの苦悩や生き様を本作から感じ取るのも一考ですな。
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【2017年度 Myランキング】(4/2時点)
本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。
そろそろあったかくなってきたかな。
(ベスト)… ★★★☆以上が基準
2位:愚行録 ★★★★
3位:チア☆ダン ★★★★
4位:暗黒女子 ★★★★
10位:
次点:
(ワースト)… ★★☆以下が基準
2位:お嬢さん ★★☆
3位:
<その他ランク外一覧>
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