かぐや姫の物語　（評価：★★★）

※※※　注意　※※※
　「シネマ報告書」には、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれております。
　これから観ようと思っている方は、本報告書の内容についてご理解のうえ十分注意してお読みください。

「『シネマ報告書2013』の掲載にあたって」

まんが日本昔ばなし THE MOVIE

★★★

（2013年／日本／137分）

【　監督　】
高畑勲

【　音楽　】
久石譲

【　声の出演　】
朝倉あき
高良健吾
地井武男
宮本信子
高畑淳子
田畑智子
立川志の輔
上川隆也
伊集院光
宇崎竜童
古城環
中村七之助
橋爪功
朝丘雪路
仲代達矢

【あらすじ】

　今は昔、竹取の翁は光り輝く竹の中から現れた女の子を見つけ、媼と共に大切に育てることに。女の子はみるみるうちに美しい娘に成長、やがて“かぐや姫”と名付けられ、位の高い男たちが求婚してくるようになる。
　しかし、かぐや姫は翁に月に返らなくてはいけないことを告げる―

【コメント】

　その昔鑑賞した市川崑監督・沢口靖子主演の『竹取物語』は、クライマックスに巨大なUFOが登場してかぐや姫がそれに乗って月に帰るという和製SF映画だったのを覚えてます。懐かしいな～
　言わずもがな日本人なら誰もが知っている竹取物語を、アニメ界の巨匠・高畑勲が作ったというので、なんで今「かぐや姫」なの？という疑問もありつつも、まあジブリだし話題にもなってるしというわけで観に行った次第です。

　先に話したUFOで迎えに来ました！みたいなSF映画のようなノリはなく、とにかく原作に忠実に、人間のドラマに重きを置いて、それでもアニメの楽しさとジブリの誠実さ？を忘れず、2時間強という長さも感じさせないくらいに映像は見せてくれます。
　かぐや姫もとてもチャーミングに動き回っているし、妥協を許さない細部にまでこだわった墨絵のような絵柄も観ていて飽きがこないです。クライマックスの、月からかぐや姫を迎えにくるシーンなんかとてもダイナミックで圧倒的。別れのシーンも涙なしでは観られません。まあ、さすがですよ。さすが高畑勲といったところです。老若男女誰もが魅入ってしまうに違いありません。
　僕の感想で言えば、決して冷めた見方をしていたわけではありませんが、「まんが日本昔ばなし」の映画版だよな、という感じでしたかね。
　小さい頃によく観た「まんが日本昔ばなし」って、物語の都度絵柄やタッチが全く違っていて、それこそアニメっぽいのもあれば紙芝居みたいなもの、本作のような墨絵のようなものもあって、物語も楽しいもの、哀しいもの、考えさせられるもの、ちょっと怖いものとバラエティに富んでいて、今思えばかなりクオリティが高いアニメシリーズだったなと、本作を観てなぜか「まんが日本昔ばなし」を再評価してしまったという事態になってしまいました。